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剣の丘に花は咲く 
第十章 イーヴァルディの勇者
第七話 矛盾が消えるとき
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たああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜……」

 破壊する勢いでドアを開け放ち飛び出していくマリコルヌ。ドップラー効果で残っていた声に喜色が混じっているように感じるのは間違いではないなと、マリコルヌが部屋を出て行く際、満面の笑みを浮かべていた顔を見た士郎が内心で溜め息を吐く。
 
「で、シロウは休んでて。後で色々やってもらうから今のうちに、ね」
「色々って」
「ま、色々よ。い・ろ・い・ろ」
「…………」

 腕を胸で挟むように士郎の腕を抱きかかえたキュルケが、上目遣いでぱちりとウインクする。
 士郎をベッドに引きずっていくと、キュルケは半ば強制的に士郎をベッドの上に転がす。

「はぁ、でお前たちはその間どうするんだ?」
「それでちょっと聞きたいんだけど、この前士郎が作ってくれたあの料理。あの潰れたパンの上にチーズが乗った……あ〜……ま、その料理だけど、材料って小麦粉とチーズと……」

 ベッドに腰掛けた士郎の前に立ったキュルケは、必要なことを聞き出すと、ロングビルとルイズを連れたって部屋から出て行く。
 部屋に残った士郎は、顔を士郎側に向けベッドで眠りこけているシルフィードを見下ろすと、小さく溜め息を吐くとごそごそと横になった。

「ありがと、ね」
「……起きてたのか」

 隣で寝ていた筈のシルフィードから瞼を開いて士郎を見る。士郎は顔を天井に向けたまま返事を返した。

「みんなお姉さまを助けようと凄く頑張ってくれてるのね。すっごくすっごく嬉しいのね。お姉さまも、きっとみんなが助けに来たって知ったら凄く喜ぶのね」
「そうか」
「そうなのね。お姉さま何時も黙ってるから冷たく見えるけどね。本当はとってもとっても優しいのね。お姉さまは何にも言ってくれないけど、でも、シルフィは知ってるのね。お姉さまがシルフィのことが大好きってことを……ね。シルフィはお姉さまの使い魔だから……伝わっているのね」
「ああ。そうだな……タバサは優しい子だ……よく……知ってる」
「…………ん……お、願い、ね……お、ねえ、さまを……救って…………」

 部屋の中に、小さな寝息が一つ……響き始める。
 横から聞こえる微かな寝息を耳に、士郎は天井を見つめていた目の上に、瞼を被せだす。

「救う……か…………救うさ……救ってみせる……俺は……正義の味方だから、な」





 買い出しのため、部屋から出たキュルケとルイズ、ロングビルの三人。居酒屋から外に出ると、ルイズは誰ともなくポツリと声をこぼした。

「シロウ……無茶しないかな」
「するでしょうね」
「そう、よね」

 ジロリとキュルケの視線がルイズを見下ろす。

「そんな目で見ないでよ。最初からシロウが無理することは知ってるわよ……ただ……言ってみただ
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