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剣の丘に花は咲く 
第十章 イーヴァルディの勇者
第七話 矛盾が消えるとき
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この宿場町に辿り着いた。昨晩宿場町に着いた士郎たちが、まず最初に始めたのが情報収集であった。だが、貴族を主にしたこの一行で、情報収集が出来る人員はいるのかと疑問が浮かぶ。しかし、実際にこの一行での情報収集には、士郎とキュルケ、ロングビルと他一名の四人―――一行の半分以上が情報収集が可能であり、その四人での情報収集は上手くいき、今回キュルケが手に入れた情報により一応の終了となる予定であった。

「で、どうだったの?」

 両手に持ったグラスに唇をつけ、ちびちびとその中身を飲みながらルイズが上目遣いでキュルケを見る。

「ん〜、ま、これで間違いないことがわかったわ」

 キュルケは空いた椅子に腰掛けながら、チラリと視線をカウンターに突っ伏し眠りこけている商人に向けた。散々キュルケに情報を搾り取られた商人は、最後には何時の間にか持ち金さえ搾り取られ最後には心も財布もカラカラに枯れ果ててしまっていた。
 顔面の穴という穴から汁を流しながらカウンターに突っ伏す商人の姿に、キュルケは口元を微かに上に持ち上げると、匂い立つほどの色気を漂わせながら首を居酒屋の二階へと向かう階段に振る。
 商人の財布と心を絞り枯らして笑うキュルケの姿に、若干身体を引かせたながらも士郎たちは椅子から立ち上がり、人目を避けるため二階へと移動を始めた。居酒屋の二階にとった一室に入ると、キュルケは部屋の隅に設置されたベッドに腰掛けながら士郎たちを見回した。

「タバサがここの城にいるのは間違いないようね」
「理由は?」

 腕を組んだロングビルが壁を背に促す。

「あの商人が言うには、アーハンブラ城に駐屯する兵士たちはとある『貴人』を守るためにいるんだって。で、その『貴人』は没落した王族らしいけど、重要なのはそこじゃなくて、その『貴人』とやらが『親子』という点よ」
「その情報の確度はどうなの?」

 ルイズが問う。

「高いでしょうね。商人は城に駐屯している兵士から直接聞いたそうよ」
「間違いない、か」

 士郎が頷くと、タイミングを図ったように部屋の扉が開き、マリコルヌが入ってきた。

「ただいま。あ〜全く苦労したよ」

 片手に何枚もの羊皮紙を握りしめたマリコルヌは、部屋の中心に置かれたテーブルの前にある椅子にドカリと腰を下ろすと、テーブルの上に手に持った羊皮紙を投げ出した。
 遠見の魔法や姿隠しの魔法等、情報収集に適した風系統のメイジであるマリコルヌは、宿場町に到着した時点で、士郎から魔法によるアーハンブラ城の情報収集を命じていた。上空からの情報収集に長けたシルフィードであるが、その姿ゆえ隠密をよしとする情報収集には適しないため、今も人間の姿で士郎たちに混じっていた。だが、人間に変身するのはかなりの消耗となるのか、何時もの元気は何処へ
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