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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第46話 「思惑と読みあい」
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を考えていました。

 ■宰相府 アンネローゼ・フォン・ミューゼル■

 予定より一日遅れて軍が出征しました。
 豪華絢爛な陣容だそうで、まあ勝って来るだろうと、皇太子殿下もその点では安心しているご様子。それは良いんですけどねー。
 問題はあれ。
 ジークにべったりとくっついてる、マルガレータ・フォン・ヘルクスハイマー。

「はぁ〜」

 と、ジークもため息を吐いています。
 というのも、原因はザビーネちゃん。ザビーネ・フォン・リッテンハイム。
 この子がやたらとジークに懐いちゃって、マルガレータちゃんと、ジークの取り合いをしてるんです。

「もてる男は辛いねー」
「そうですねー」

 両手に花。
 皇太子殿下もにやにやと、三人の様子を見ていますし、楽しいです。
 見てる分には。
 それにラインハルトとエリザベートちゃんの、ぎこちない関係も楽しいです。
 ラインハルトってば、どう接して良いのか分からずに、悩んでいますし。我が弟ながら情けない。
 女の子の一人ぐらいで、おろおろしてどうするのですか?
 きゃっきゃうふうふ、してればいいものを。
 育て方を間違えたー。
 もっと肉食系に育てるべきでしたー。

「アンネローゼが言うと、なんか生々しいわ」

 ぼそっとエリザベートさんが呟きました。
 なんて失礼な人でしょうか?
 私のどこが肉食系だというのかっ!!

「あ、やっぱ、あんたら、姉弟だわ」
「自覚のないところなんか、そっくり」

 失礼な人たちです。
 皇太子殿下、皇太子殿下は分かって下さりますよね。

「足して二で割るとちょうど良いかもな」
「そうかもしれませんねー」
「皇太子殿下までー」

 わたしの周りの人たちって、どうしてこうなんでしょうか?
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