導入編
麻帆良編
導入編 6.5-M話 閑話 ルームメイトは武器商人
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した事があるといえるのかわからない…
「殺人ですよ?人を殺すんですよ!」
私の叫びに長谷川さん…いや、ナニカは黙ってフィンガースナップをすることで答えた。
私の中の冷静な所が防音と認識阻害の結界貼られたこと、そしてそれが無詠唱でなされた事を理解する。
「どうして、どうしてそんな眼であっさりとそんな事を言えるんですか」
しかし、私の感情は止まらない、ただ堰を切ったように溢れ出していく
「…『ある』んだな?人をk」
「言うな!」
私も『守れなかった人』を別にしても…ある。
それは退魔師としての仕事の過程で…ほんの数か月前、人を殺した。
そいつは外道だった、死んで当然だと思った…だから激情に任せて戦いの過程で『首を刎ねた』
どうせ捕縛した結果も同じだったが…それでもその血しぶきを浴びて冷静になり…私は…私は…
「…正直さ、うらやましいよ」
「何を!」
ふざけたことを、そう続けて叫びながら切りかるという衝動を解き放つ前にソレは言った。
「そこまで、自分のした事を悩める桜咲が、だよ。真っ青だぜ?顔色」
それはそうだろう、今でもたまに夢に見る、あの悪夢が今まさに私を苛んでいるのだ
私は人殺し、お嬢様の目に映る事すら許されない汚らわしいモノ
だからだろうか、ソレの接近を許してしまったのは
ポン
気付けば彼女は私の正面から両手を私の肩において私の顔を覗き込んでいた。
「私はさ、そういうのよくわからない。
私が、私という人格が生まれて育った街、あのロアナプラでは人間の命なんて一日分の食費の価値があるかも怪しい。
庭の雑草を引っこ抜くのと人を殺すのの違いなんて、後片付けをきっちりしなきゃ面倒なことになる位って認識だ」
私をまっすぐに見つめたまま彼女は続ける。
「だからさ、大事にすると良いよ、そういう悩める自分を、な」
きっと彼女はそういう、人を殺すことをためら『え』ない人間なのだろう。
人を殺す事を何の理由もつけず、飲みこめてしまう、『私とは違うナニカ』なのだろう。
でも、私は…
ぎゅっ
私は彼女の胸で泣いていた、そして彼女はそんな私を抱きしめてくれていた。
そして私をあやすように私の知らない、英語の歌を歌ってくれた。
私は人を殺してから初めて泣いた
『よくやった』『悩むことはない』と言ってくれた師匠ではなく、
『うらやましい』『悩む自分を大切にしろ』と言った死をばらまく武器商人の胸の中で
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