暁 〜小説投稿サイト〜
IS<インフィニット・ストラトス> ―偽りの空―
Development
第十八話 迷路
[6/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
んど日本政府に匿われたも同然だ。
 世界のバランスを一変させる可能性を秘めた貴重なサンプルでもある男性操縦者、そのデータは世界中が求めている。それこそ、ハニートラップすら駆使して遺伝子情報を持ち替えろうとすることもあり得る。
 
 世界中から希望者が増えたのは、つまりそういうことだ。

「はぁ、随分あからさまだね。となると学園でのもめ事も増えそうだし、亡国機業が動かないはずがない。それに……STCを襲ったリベリアス・ファングにも狙われるかもしれない」
『そうね、特にリベリアス・ファングにとっては女尊男卑をひっくり返す旗印になるかもしれないんだから、のどから手が出るほど欲しいでしょうね』

 リベリアス・ファングは今でこそ反ISメインだが、根本は反女尊社会である。仮に織斑一夏のデータから男性が操縦できる可能性を見いだせれば、女尊社会の根底を覆しそれだけで目的を達成することも十分に可能である。……反IS組織がISによって目的を達成するというのも皮肉な話ではあるが。

「生徒会の仕事が増えるね」
『そういうこと。引き続きあなたには副会長でいてもらいたいの、よろしくね』
「喜んで。こちらこそ……よろしく」

 紫苑にとっても、楯無にとってもこのひと時はかけがえのない時間だった。紫苑にとっては半年という時間を失い不安になっていた状況を多少なりとも払拭できた。楯無にとっては、半年もの間求めてようやく取り戻した日常の一部。

 その後はこの半年に起こったことや学園の状況などを話しているうちに時間は過ぎていった。

『もうこんな時間。病み上がりなのに無理させちゃったわね』
「ううん、気にしないで」

 夜も遅くなり、さすがに切り上げようとしたときだった。楯無が何やら言いづらそうに言いよどむのを紫苑は感じた。

「……どうしたの?」
『あのね、紫苑君。あなたにこんなことを聞きたくないのだけど……』

 紫苑が促すも、どうにも歯切れが悪い。いつもはっきりとした物言いの楯無としては珍しい。

『篠ノ之博士は本当に信用できるの?』

 しかし告げられたのは紫苑にとって、それは予想外の言葉。 

「……どういうこと?」

 そしてそれは当然、紫苑には許容できない言葉。自然とその声にも不機嫌さが窺える。

『話をしながらいろいろ考えたんだけど、どうも不自然な点が多すぎるのよ。あなたが保護されたのもタイミングがよすぎるし、その後の情報隠ぺいも手際が良すぎる。無関係だとは思えないのよ』
「いくら楯無さんでもそれ以上は……」
『わかってるわ! あなたがどれだけ篠ノ之博士のことを信頼しているかくらい! 私だって話してみた感じ、嫌いではないの。でも、だからといってあの天才が何を考えているか、理解できないことが多すぎるの』
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ