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第十八話 迷路
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、今の楯無にすべてを語るべきではないと判断して、自身の出生や病の原因についてはボカしており、ISが操縦できる理由までは語っていない。
『そう……篠ノ之博士が。それに体調不良の原因がわかってそれも治った、ってことでいいのかしら?』
「みたいだね、詳しいことはまだ知らないんだけど。このあとしばらく束さんのラボでリハビリと経過観察してからの判断になるね」
『どちらにしろよかったわ。病気が治ったのも怪我の功名ってところかしら。なんにせよ安心ね、学園にはいつごろ戻る予定なの?』
「えっと、来月の予定だね。それで……言いにくいんだけど留年することになっちゃった」
『……え?』
紫苑は、ここでこれまで言い出せなかった自身の処遇について伝える。その楯無の反応から、彼女も予想していなかったことがわかる。事実、楯無は紫苑の安否ばかりが気がかりで復帰後のことまで意識がまわっていなかった。
『そう……よね。半年も休学していたんじゃ仕方ない、か』
「うん。でも、通えるようになったら新学期まで待たずに復帰するから。その間は同級生だし、クラスメートでルームメイトだね」
『あ! ってことは部屋も別々になるのよね。あぁ、いたいけな下級生が紫苑君の毒牙にかかってしまうのね』
ヨヨヨ、と聞こえそうな大仰な口調で捲し立てる。大分調子が戻ってきたようだ。
「毒牙ってなにさ! そんな覚えないよ!?」
『……本当に?』
「うっ……」
現状学園において、その存在自体がやましい紫苑にとって真面目に問われるとさすがに言い返せない。
『ふふ、冗談よ。でも、本当に手を出したりしたらだめよ……?』
「出さないよ……」
『……紫苑君、学年は変わるけど私があなたの味方なのは変わらないわ。だから、あなたも私の味方でいてちょうだい』
さきほどまでの雰囲気から一変して、突如真面目な様子で楯無は話し出す。紫苑も、彼女が何か伝えたいことがあることを悟り意識を切り替えた。
「うん、もちろん」
『織斑先生の弟のことはもう知っているかしら? 二人目……世間的には世界初の男性操縦者ね。その彼が入学してくる、つまりあなたと同級生になるわ。厄介なことに、それが発表されてから後期試験への申し込みが世界中から殺到しているの』
IS学園はその特性上、定員制ではなく一定以上の能力を有していれば入学が許可される。しかし、今年は男性操縦者の出現により状況が変わった。世界中から入学希望者が集まりつつあるのだ。
もともと日本領内に立地しているため、必然的に日本人が多いのだが今回ばかりはその比率に変動が起きた。それが意味するところは諜報である。織斑一夏は日本人、IS学園も建前上は世界共同運営であるとはいえ日本政府の影響力が大きい。となれば、織斑一夏の身柄はほと
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