Development
第十八話 迷路
[3/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
とい、意識した。紫苑が聞けば嘆くのだろうか、はたまた喜ぶのだろうか。
(ちょ、ちょっと待って。冷静になりましょう。そりゃ、今は二人目の男性操縦者が現れたとはいえそれまでは唯一の、それに国家代表クラスの強さ持ってるし? ISなしでもかなり強いみたいだけど、普段はどこか抜けているっていうか、弄りたくなるのよね。それに、女もうらやむほどの美人さんだし……でも戦ってるときはキリっとしてるのよね、男の格好したら結構格好いいんじゃ? ん、成績も優秀だし今までの感じだといろんな分野に精通しているから話してると楽しいし……あれ? もしかしてかなりの優良物件なんじゃ。でもやっぱり今さら男の子として見れるのかしらね)
それは恋……なのかは微妙ではあるが、どちらにしろ楯無は多少は自身に起こる感情の原因を理解できたようだった。
それからというもの、紫苑がいないという事実は変わらなかったが楯無の考え方には若干の変化が訪れた。
(ん〜、来年は紫苑君がいたら絶対お姫様役やってもらいたいわね、それならトップ間違いなしよ)
それは、学園祭の一幕。部活対抗の催し物に対して生徒会は演劇部と合同で劇を行った。王子様とお姫様のありふれた物語、その中で楯無は王子役を演じることで熱狂的な空気を作り上げた。……一部失神者も出たようで、紫苑が行方不明になったことで学園の人気が一極集中しているのかもしれない。
しかしそれほどの集客でも、今回は投票によるランキングでは僅差で優勝を逃した。そこで楯無はふと紫苑のことを思い出したのだ。
(はぁ、キャノンボール・ファストも特に波乱もなく終わっちゃったわね。紫苑君がいればもうちょっと楽しめたのかしら)
学園祭の後に行われた行事、キャノンボール・ファストでも同様に紫苑のことを考える。ISを用いた高速のバトルレース、キャノンボール・ファスト。ここでは、専用機と訓練機では部門が別なので、楯無はフォルテ、ダリルを含めた三名でのレースとなった。ちなみに訓練機は学年別だが、専用機は人数の関係で全学年合同だ。
フォルテとダリルが楯無に狙いを定め、想像以上の連携で蹴落としにかかったがそれすら跳ね除け、楯無が優勝する。二人の連携は予想外ではあったが、やはり楯無にはどこか物足りなかった。
(やっぱり、もう一度彼と戦ってみたいわね)
年末に行われた年度最後の学年別トーナメントでも当然のように楯無は優勝する。その頃にはもう学園内で紫苑の話題が出ることも少なくなった。だれもが皆、生存が絶望的であると感じたことで努めてそうしているのだと誰もが理解している。生徒会ですら、今はほとんど話題にあがらない……悲しそうな顔をする人がいるから。
年が明けすぐにIS学園の試験の日がやってきて、そこで世界を震撼させる
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ