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剣の丘に花は咲く 
第二章 風のアルビオン
幕間 炎の中の子供
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れじゃ、どうしようかね

 キュルケの判断は、ロングビルが密命のことを知っていることを知らない身としては正しい判断だ。ロングビルとしては、出来ればこのままついて行きたいと考えていたが、この様子では無理だと理解する。

「分かりました。そこまで言われるのなら、訳を聞きません。しかし、『桟橋』まで行くのでしょ? そこまで付いていきます。あの傭兵たちがまた来るかも知れませんから」
「すみません……」

 ロングビルの好意に、キュルケはますます頭を下げた。


 
  
  
「船を出せない?」
 
 ロングビルたちが『桟橋』に着き、停泊していた船の乗組員にアルビオンに行きたいと言ったところ、あっさり首を振られて断られてしまった。

「何で? この船はアルビオンに行く船なんでしょ?」
「ああ、いつもならね。だけど知ってのとおりアルビオンじゃ内乱が起こってるだろ。唯一今のアルビオンに行く船は、何故か知らないが、昨日の夜中に出て行ったみたいだから、ここからアルビオンに行く船はもうないよ」
「そんな……、どうしてもいけないの?」
「ああ、いこうにも風石がないからね」
「風石が無い? それってどういうこと?」
 
 何とか説得しようとしたキュルケだが、予想外の言葉に驚く。忌々しげな顔をする乗組員は、空にかすかに見えるアルビオンの大陸を指差す。

「“レコン・キスタ”の奴らがあらかた持って行きやがったんだよ、……風石を持っているのは奴らに物資を持っていくような奴だけ、ここにいる奴らは風石は持ってないよ」
「はぁ〜。わかったわ、ありがと」




 キュルケはため息をつくと、ロングビルたちを連れて“桟橋”から離れ。
 
「それでどうするんだい、アルビオン行きの船が無いならどうしようもないだろ?」
「そうだけど……あっ! タバサっ!」
「?」

 突然何かに気付いたキュルケは、タバサに振り向いた。

「あなたのシルフィードならいけるんじゃない?」
「無理」
「無理って、あなた……確かに近くはないけど、無理じゃないんじゃない?」

 タバサにすげなく断られるも、諦めずにキュルケはもう一度確かめようにタバサに聞くが。しかし、タバサはふるふると首を振ると、かすかに見えるアルビオンを見上げる。

「“レコン・キスタ”と空賊がいる、見つかったら逃げられない」
「あっ……じゃあ、どうしようもないわね……」
 
 キュルケたちが腕を組んでどうしようかと悩んでいると(タバサは、ぼ〜と突っ立っているが)、ロングビルがおずおずと声を上げる。

「アルビオンに行きたいんですか?」
「えっ? ええ? そうですが……。っ! 何か方法があるんですか!?」
「そうなのかい!」
 
 ロングビルの言葉に、
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