ルリム・シャイコースとの戦い V
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癒』で再生出来る筈。新しく生やせばいいの。』
「・・・・・・・・・。」
おいおい、と彼は独りごちる。何よりも嫌なのは、ああ、そうか。こんなに簡単な事だったのかと感じてしまった自分のことだった。
こんな人間離れした方法を、試す間もなく成功すると感じてしまった自分が嫌だった。腕を新しく生やすなんて、俺はナメック星人やバクテリアじゃないんだぞなんて考える。
が、そんなことを思っていても仕方がなかった。いつ、ルリム・シャイコースに発見されるかわからないのだ。
護堂は無言で立ち上がると、今まで寄りかかっていた家の壁を向いた。
「スゥ〜・・・!」
深く深呼吸をした護堂は、歯を食いしばり―――
「ウラァ!!!」
右腕から、壁に力いっぱい体当たりをした。ご丁寧に、『剛力』まで装填して。
「が、あああああああああああああ!?」
ガキン!!!
甲高い音が鳴り響き、右腕が完全に破壊される。砕け散った氷の破片が、剥き出しになった傷口に深く突き刺さり、想像を絶する痛みをもたらした。それと同時に、止まっていた血が流れ始め、間欠泉のように勢いよく吹き出す。
「・・・ッ!・・・・・・ッツ!!!」
言葉にならない叫びを上げながら、護堂は『治癒』を装填する。即座に効力を発揮したその能力は、彼の右腕を根元から再生し始めた。
「はァ・・・!はァ・・・!もう一丁!!!」
まだ完全に治ってもいないのに、彼は左腕も破壊する。またもや痛みと戦いながら、彼は両腕の再生を終えたのだった。
『だ、大丈夫か護堂君・・・?』
「・・・フラフラしますよ・・・。」
数分後。両腕の再生を完全に終えた彼に、翔輝が恐る恐る尋ねた。
『それは多分、血が足りなくなっているの。ドクター特製の増血薬を転送するから、使うといいの。』
「あはは・・・ありがとう。」
あの変人の作った薬を使うのは怖いが、背に腹は代えられない。他に方法もないのだ。素直に甘える事にした。
因みに、鈴蘭のように人を転移させるとなると、莫大な呪力が必要だが、小さな物くらいなら、簡単に転送することが出来る。『投函』の魔術もあるくらいだし、それのちょっとした応用である。
「・・・増血薬って、時間がかかりますか?」
『一時間くらいはかかるの。それがどうかしたの?』
普通、増血が一時間で終わるわけがない。まぁ、そこはドクターマジックである。神の雫も先ほど祐里に使用したので在庫を切らしているし、鈴蘭が倒れている為、新しく作ることも出来ない。
「それなら、さっきの女の子の所に行ってくる。・・・きっと、心細
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