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IS<インフィニット・ストラトス> ―偽りの空―
Introduction
第十六話 落日
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 こんな状況で彼女のことを思い浮かべるなんて、自分自身、少し意外ではあったけれど、確かに僕にとって彼女の存在は大きくなっている。いろいろと振り回されたけれど、彼女がいなければ今の僕はいない。でも、まだなにも恩を返すことができていない。やっぱりこのまま倒れるわけにはいかないんだ。

 でも……。

 そんな想いとは裏腹に、僕の意識は遠のいていく。

第零形態(ゼロスフォーム)移行(シフト)します』

 僕が意識を完全に手放す直前に、聞き覚えのない声が脳内でそう告げた……。







『さぁ、今日はIS学園の生徒もよく訪れるという、巨大ショッピングセンターにやってまいりましたぁ』

 何の気なしにつけたテレビから、元気な声が流れてくる。

(ふふ、人数が増えたのはちょっと想定外だったけど昨日は面白かったわね)

 楯無は昨日まさに自身が立ち寄ったその場所をテレビで見て、ふと昨日の出来事を思い出しながら今は不在のルームメイトのことを考えて笑みを浮かべる。

 学園に入学した直後、彼女にとって紫音という存在は、はじめはそれほど重要ではなかった。それどころか、得体の知れない相手というのが第一印象だ。IS業界でも名だたるSTCの母体でもある西園寺家の令嬢、それだけで警戒するには十分だったが、決して興味を持つような存在ではなかった。しかし、更識家によって調べられた情報にはどこか違和感を感じていた。

 その違和感は紫音の弟である紫苑が最近原因不明の病で倒れたという情報だ。特に不自然な点は無かったにも関わらず、彼女にはなぜかそれが引っかかった。
 そしてその感覚は、楯無が紫音と出会うことでより一層強くなる。情報にあった人物像とのズレ。そして、時折見せる何か悲壮感すら漂わせる瞳。それらが楯無の琴線に触れ、紫音へと興味を持たせる。

 その違和感の正体を突き詰めてやろう。楯無はただそう考えていた。しかし、それはすぐにどうでもよくなった。否、それが重要ではなくなった。
 なぜなら、楯無自身が紫音という存在を気に入ってしまったのだ。

 まさしくお嬢様というその外見や仕草、話し方。その姿は一般男性から見ればまさに女性の理想だったともいえる。いや、むしろ完璧すぎた。その仮面のようなものから見え隠れする本音。からかったときの反応はまさにそれで、それは楯無にとっては好ましいものだった。
 普段は自分を偽り続けているのに、素直に素の反応を示す違和感。それはより彼女の興味を誘った。

 自分と並び立つ成績に、同じ専用機持ち。今まで、その優秀さから周りを寄せ付けなかった楯無にとって初めて対峙する同等の存在。そして、その実力はクラス代表を決める試合で明らかになった。
 最初はただ実力を確認してみたいという
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