第21話「試練―其のA」
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日曜日、午前0時。
大階段前。
ネギの弟子入りテストが始まろうとしていた。
「いいな、くれぐれも手を抜くなよ」
「……ほどよくやる」
エヴェンジェリンの言葉に、中途半端な答えを返す。もちろん、武器を使うつもりはない。殴ったり蹴ったりするだけだが、それでも手を抜かなければならない。魔法と気を使えばある程度防げるとはいっても今のネギを本気で殴れば内臓が破裂してもおかしくない。
「しかしいいのですか、マスター。ネギ先生が猛先生に一撃を与える確立は1%以下です」
――1%以下……か?
どうも、この世界に来てから実力を過大評価ばかりされている気がする。
単なる殴り合いなどタケルにとっての得意分野とは到底いえない。ネギが予想以上の動きを見せるなら簡単に入れられてしまうだろう。
「おい、勘違いするなよ、茶々丸。私はほんとに弟子などいらんのだ。それに一撃当てれば合格するなど破格の条件だ。これでだめならボーヤが悪い」
――たった2,3日の中国拳法で一撃を入れるっていうのは破格なのか……? むしろ、過酷な気が。
内心、そんなことを考えているなどとはおくびにも出さず、ネギたち一行の到着を待つ。
「いいな、タケル。わざと合格させるなどということは決して許さんからな」
「わかっている」
答えたタケルの視界に、ついにネギがその姿を現した。
「ネギ・スプリングフィールド。弟子入りにテストを受けに来ました!」
「よく来たな、ボーヤ。では早速始めようか。お前のカンフーもどきでタケルに一撃でも入れれば合格。手も足も出ずに貴様がくたばればそれまでだ」
――カンフーもどき……か。
エヴァンジェリンの言葉に、スっとタケルの目が細くなった。
「……その条件でいいんですね」
にっと微笑むネギに、毒気を抜かれたエヴァンジェリンが不思議そうに「ん? ああ。いいぞ」と答える。
――そういえば。
タケルはふと考える。ネギの後ろでワイワイと騒ぐギャラリー陣を見つめる。名前を挙げるもの面倒くさいほどの人数がネギを心配そうに見つめている。
神楽坂 明日菜、古 菲、佐々木まき絵、桜坂 刹那、近衛 木乃香に加えて、明石 裕名、和泉
亜子、大河内 アキラの計8名だ。
「……なぜ」
「――え?」
不意に、タケルが声を発した。
「なぜ、必要のないギャラリーがいる?」
「はぁ、ついてきちゃって」
困ったように呟くネギ。
近くにいたエヴァンジェリンしか気付かないほどに小さな歯軋りが、タケルから響く。
「……そうか」
短く答えて、ネギと相対する。
――苛立っている?
珍しいものを見たような顔になる
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