第21話「試練―其のA」
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のスポーツをやってまだ半年の時。しかも年のころはまだ12,3歳。
まだまだ中途半端でしかない拳と、超兵器。
生き残るためには習得に時間のかかる拳を鍛えるよりも、兵器の扱いに精通するほうを選択するしかなかった。射撃精度、武器性能、扱いの応用……などなど。それですらずっと必死に影で訓練したものだ。
「ふっ」
目の前でネギが稚拙に踏み込み、稚拙に腰を回し、稚拙な中国拳法を披露していた。
タケルは中国拳法を一切しらない。
その見たこともない動きに、本来なら反応できるかどうかの怪しいはずのタケルは、だが、いとも簡単に反応して見せた。
その拳を掴んで、宙に放り投げる。受身もろくにとれずに地面に叩きつけられたネギすぐさま立ち上がる。
最早おぼろげとなり、見る影もなくなった元武術家の拳は、今では実戦でのみ鍛えられ、隙はないがそれでもやはり雑な拳として、ネギの顎を狙って真っ直ぐに放たれた。
その拳を、ネギは右手でずらし軌道を与える。決められた軌道をすべったタケルの拳はそのまま空振りとなり、伸びきった腕はネギの左手により、ぐっと掴まれた。
その捕まえた腕をグイと引き込み、タケルの体勢を崩す。距離も体勢も潰され、ガラ空きとなった体めがけて、ネギが渾身の肘を突き入れた。
――雑だ。
引き込みが不十分なら、体の連携もバラバラ。狙う箇所も大雑把。これではあまりにももったいない。
武というものは全てにおいて通ずるものがある。もちろん、体系も違えば動きも全く変わる。だが、それでも変わらない、いや変わってはいけない方向性があった。
それが、体の全てを利用すること。
例えば、踏み込んだ足に返る地の反動。回した腰をつたわる全ての回転力、遠心力。背筋を引っ張り、弓のように引き絞り、鋭く放たれた拳を、インパクトの瞬間に回転と力を込めることによって得られる早く、強力な突き。
全ての力は一つ一つの動きに集約されている。
最も効率的に、そして一切の無駄もなく、最大限の力を発揮する。それがタケルの知る武術だ。
だが、この世界の武術は人体の力学を無視している。
それはこの世界の武術が稚拙だからでは、決してない。先にも述べたが、その世界で適した形で進化した形、それが今のこの世界に広がる武術なのだ。
もちろん、人体力学的にはおそらくあらゆる面で損をしているだろう。だが、この世界の本当の武術家たちにとって、必要な物は人体の力ではない。それ以上に大事な力がある。
気だ。
動きの一つ一つに気もしくは魔法が効率的に働く動作となって武術へと形を成しているのだ。
その代表例がクー・フェイだろう。
だから、習いたてのネギでは結局、カンフー
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