A's編
第三十一話 裏 中 (なのは)
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パチリと瞬きを繰り返していた。どこか、少し驚いているようにも見える。
「目が覚めた? ……ショウくん」
起きたばかりの彼を驚かせないようになのははゆっくりと落ち着いた声で話しかけた。その声を聴いて、ようやく翔太はなのはの姿を認めたようだった。確かめるようになのはの名前を呼ぶ。
「なのは……ちゃん?」
「うん、なのはだよ」
彼の口から自分の名前が零れ落ちることが嬉しくて。だから、なのははいつものように笑顔で翔太の呼びかけに応えた。
翔太は、なのはから答えをもらって、現状を把握しているのか、少し思案顔になっていた。翔太の邪魔をしないようになのはは黙って見守っている。そして、現状の把握が終わったのか、翔太は、「―――って、はやてちゃんはっ!?」と言いながら飛び起きてしまった。
なのはは、今まで太ももの上に感じていた翔太の重みがなくなって残念に思う。そして、もう一つ、翔太が八神はやてのことを心配していることが気に入らない。
ああ、あの子狸がいなければ、翔太がこんな風になることもなかったのに。なのに、翔太はそれでも八神はやてのことを心配している。
どこか憮然としない感情を抱えるなのは。だが、その一方で、どこか、ああ、やっぱりと納得したような感情を抱えていることも確かなのだ。
―――だって、ショウ君はいい子だもん。
だから、正しい。少なくとも、今回のことにおいて八神はやては時空管理局の途中までの説明を信用するのであれば被害者だ。だから、翔太が八神はやてを気にするのも当然だ、となのはは考えていた。
その後も翔太は、八神はやての行方を知ろうとしていた。翔太に問われれば、なのはに答えないという選択肢はない。だから、なのはは守護騎士たちが戦っている方向を教える。戦況は五分五分、いや、彼女が本気を出していないことを加味すれば、遊ばれている、あるいは戸惑っているというべきだろうか。
守護騎士たちを介して集めた情報をレイジングハートが解析したところ、どうやらあれは闇の書の管理人格が表に出てきた結果らしい。ユニゾンという状態であり、八神はやての意識は彼女の中で眠っているのだという。そして、その管理人格が戸惑っている理由というのは、おそらく牙をむいてきたのが守護騎士たちという理由だろう。
元来であれば、彼女たちが守護するのは戦っている張本人なのだから。管理人格からしてみれば何がどうなっているかわからないというところだろう。もっとも、現状は何らかの要因によって暴走しているらしいので、いずれその意識に飲み込まれ、すべてを破壊するだろう、というのがレイジングハートの見立てだった。
―――すべてを破壊。
すべてはどこまでを指すのだろうか? とも考えたが、レイジングハートの答え
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