A's編
第三十一話 裏 中 (なのは)
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四人の姿が見えた。まるでなのはを守護するように、なのはを囲う形で四人は顕現していた。
「我ら、不屈の心の下に集いし騎士」
紫の髪をポニーテイルにした剣を持つ騎士であるシグナムが―――
「主ある限り、我らの魂尽きる事なし」
蒼い獣の耳と尻尾とともに鍛え上げられた肉体を持つザフィーラが―――
「この身に命ある限り、我らは御身の下にあり」
金髪のショートヘアを靡かせ、深緑の衣に包まれたシャマルが―――
「我らが主、高町なのはの名の下に!」
真紅のゴスロリとその子どもような体躯に似合わぬ鉄槌を持つヴィータが―――
なのはの命により守護騎士として顕現するのだった。
なのはは彼女たちに何の思いも持っていない。どこかの少女のように彼女のように彼らを家族とは思っていない。なのはの心情は、どちらかというと過去の闇の書の持ち主に近いだろう。つまり、彼女たちはなのはにとっては道具だ。この場合は、特に。なのはの代わりに足止めをしてくれる都合のいい人形だった。
「いけ」
オーダーは端的にして明快。それだけで守護騎士たちが働く理由には十分だった。
「「「「御意」」」」
四つの声が唱和する。その次の瞬間には、彼らはすでに地面を蹴っていた。向かうは、はるか上空にて待機する黒き翼をもつ女性のもとだった。
なのはは彼らを冷たい目で見送る。分かっているからだ。彼らだけではあの女性を止めることはできない。圧倒的に魔力が足りないし、なのはの砲撃を止められるほどの防御ができるのであれば、彼らの攻撃はおそらく通らないからである。
だが、なのはにとってはそれでもよかった。なぜなら、彼女の目的は彼らが彼女を倒すことではないからだ。ただの時間稼ぎ。彼女が望むことはそれだけだった。
「ショウくん………」
そんなことよりも、今優先すべきは、冷たいコンクリートの上で横になっている翔太のことである。
様子をかんがみるに彼は本当に気を失っているだけのように思えるので、このまま横にしても問題はないだろう。なのはとレイジングハートはそう判断できる。しかし、それでも、なのはには翔太をこのまま冷たいコンクリートの上に横にしておくことができなかった。
問題のある、なしではないのだ。なのはが嫌なのだ。
だが、その一方で、なのははどうしていいのかわからなかった。近くに毛布もなければ、布団があるわけではない。寒さ対策や少しでも寝やすくなるような道具は一切なかった。だからと言って、安眠のための場を作るための魔法があるわけではなかった。
あるのは翔太が着ているコートとなのはのバリアジャケットぐらい。しかし、なのはのバリアジャケットはなのはの身体から離れた時点で意味がなくなる。
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