A's編
第三十一話 裏 中 (なのは)
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を打ち破ることはできない。ただ、破壊することはできなくても濁流のように流れてくる魔力を相手に踏みとどまることはできなかったのだろう。まるで魔力そのものに押し流されるように彼女はなのはから遠ざかっていく。やがて、砲撃魔法を終えた時、彼女ははるか上空へ押しやられ、豆粒のような大きさになっていた。
なのはは彼女を遠ざけることに成功した。ただし、それは一時的なものにしか過ぎない。いずれ、彼女はなのはを狙って襲ってくることは明白だ。ならば、なのはは先手を打って迎撃しなければならない。この場に翔太がいる限り。しかし、それは平時なればこそだ。もしも翔太に意識があるのであれば、なのははこの場を離れることもできただろう。だが、翔太は意識を失ったまま眠ったようにコンクリートの上に横になっている。もしも、万が一があった時に避けることさえできないのだ。
よって、なのははこの場を離れることができなかった。しかし、離れなければ翔太により危険が迫ってしまう。
そう、もしも、なのはがひと月前と同じ状況であれば、なのはは離れなければならないのに離れられないという二律背反に葛藤しただろう。しかし、今は仮定そのものが異なる。なのはが離れられない。なのはが相手できないのであれば、なのは以外が相手をすればいい。そのための駒はすでになのはの手元に存在していた。
だから、なのはは呟く。それらを呼び出すための言葉を。
「きなさい」
なのはの口から紡ぎだされた命令はたったの一言。だが、その一言は彼らにとって裏切ることのできない至上の命令だ。
レイジングハートが数回点滅し、そのプログラムを始動させる。大本は彼女―――闇の書から生まれており、すでにレイジングハートの中で新たなシステムとして昇華したプログラムを。
『All right! Guardian knight system wake up』
その輝きはレイジングハートの宝玉から飛出し、なのはを護るように四つに分裂し、周囲をくるくると回る。回りながら、それぞれの光はその色を変える。
一つは桃色から紫へと。
一つは桃色から真紅へと。
一つは桃色から深緑へと。
一つは桃色から白銀へと。
それぞれ色を変える。そして、システムを起動させるための最後のフレーズをシステムを御するレイジングハートが告げた。すなわち―――
『Summon』
―――召喚、と。
直後、それぞれの光は柱となる。天を貫こうかという柱に。その中で一際強く輝くそれぞれの光。まるで、柱の中核がそこにあると言わんばかりに一点が力強く輝く。やがて、その一点を中心として、柱の中で変化を始める。最初は大きな影へと。次に影は人型へと変化する。
光の柱がほどけた時には、そこには
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