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リリカルってなんですか?
A's編
第三十一話 裏 中 (なのは)
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、などと応えられるような余裕を高町なのはは持ち合わせていなかった。翔太が冷たいコンクリートの上に倒れ伏している姿を見た瞬間に、なのはの思考は一瞬で沸騰している。それでこそ、翔太の横で怯えたはやてや嗤っているクロノが目に入らないほどに。

 机の上に置いてあるレイジングハートをがっ、と乱暴につかむと一言だけ告げた。

「いくよ」

『All right my master』

 自分の扱いには一切言及せず、己が主に忠実なデバイスはただそれだけを告げると、なのはの衣装をバリアジャケットで包み込み、転移魔法をもってなのはを移動させる。向かう先は、今までのぞいていた廃ビルの屋上である。

 転移は一瞬だった。

 12月の寒空の下、なのはは姿を現す。空は曇り、コートでも着ていなければ、身を丸めて暖を取りたくなるような冷たい風がなのはのバリアジャケットのスカートをはためかせていた。もしかしたら、もうすぐ雪が降るかもしれない。

 だが、しかし、今のなのはにはそんなことは関係なかった。ここがどこであろうとも、どんな天気であろうとも関係ない。彼女の視界に入っているのは、廃ビルの屋上でうつぶせに倒れているなのはの唯一の友人たる蔵元翔太だけだった。そのため、翔太の隣で闇の書とともに黒い魔力光に身を包まれている八神はやても、それを満足げに見つめるクロノ・ハラオウンもなのはの視界には入っていない。

「ショウくんっ!!」

 大切な―――何物にも代えがたい友人の名前を呼びながらなのはは突貫する。一直線に向かうは彼の元。なのはは、翔太の真横に着地すると彼の容態を調べるために片膝をつき、彼の顔を覗き込んだ。

 翔太の顔は、少し青白かったが、呼吸はしっかりしている。顔が青白いのももしかしたら寒さのせいかもしれない。ともすれば、翔太は寝ているだけだと判断する人も少なくないだろう。

 とりあえず、なのははいつぞやのデパートのときのような状況になっていないことを確認して、ほっと一安心といったところだった。翔太が無事であることがわかれば、次に目を向けるのは、当然、翔太をこのような状況へと追いやった張本人である。

 その張本人―――クロノ・ハラオウンは、なのはから少し離れたところで宙に浮きながら、嗤っていた。

「おまえが、ショウくんを………」

 ぎりっ、と奥歯をかみしめながら、レイジングハートを握りしめ、親の仇でも見るような目を向けるなのは。そんな視線を正面から受けながらクロノは、涼しい顔をして相変わらず笑っていた。

「想定はしていたが、思っていたよりも早い登場だったよ。確かに、彼をそんな風にしたのは僕だけど……僕に構っている余裕はあるのかな?」

 その言葉とほぼ同時だっただろう。なのはの持つデバイス―――レイジングハ
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