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虹との約束
第一部
第二章
約束しよう
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さる言葉だった。バカだった、と祐二は思った。知らず知らずのうちに、彩が支えてくれていた。真里は我慢していた。こんなんじゃ、恋人失格だ。
「ごめん。本当に。」
ひたすらに謝った。しばらく静かになって、彩が訪ねてきた。
「…心当たりは?」
「ある。だから、行ってみる。」
「よかった。あのね、真里はあのロケット、いつも身に着けていたんだよ。それだけ井原が好きだってこと。とっとと励まして、キスの一つでもくれてやんなさいよ。」
「うん。ありがとう。」
「親友なんだからね。これは怒りよ。と、とりあえず…気をつけてね。」
「うん。」
祐二は電話を切った。真里の行き先には、心当たりがあった。
 勢いよくドアを開くと、バス停へと向かった。

 やっぱりだ…
 草原公園の隅っこに、少女が佇んでいた。
「真里!」
これまでで一番大きく、真里に呼びかけた。冬の暗闇の中で、真里がこちらを向くのがわかった。祐二が真里に駆け寄ろうとすると、
「来ないで!」
と真里が叫んだ。叫びの悲痛さに、祐二の足は止まった。真里が、真里ではなくなっていた。いつの間にか追い詰められ、いや、追い詰めていた。祐二は改めて、過失の大きさを実感し、責めた。
「ごめんね。祐二。祐二といると、悲しくてたまらなくなっちゃう…もう、祐二と一緒にいられなくなる…そう思うと…」
「真里…」
「こんなの、私一人で十分…」
「…」
バカだ。大バカだ。
「バカ言ってんじゃねえよ!」
祐二は叫んだ。普段温厚な彼の発言とは、誰も思わなかったろう。
「真里がそうやって抱え込んでんのが、こっちは一番辛いんだよ!海で遊べなかろうが、クルーズできなかろうがどうだっていい。一緒にいられなくたって…真里が一人で苦しんでるのが、一番辛いんだよ!」
「祐二…」
祐二は真里に向かって走った。なんの前ぶりもなく、これでもかというほど強く、真里を抱きしめた。彼女の身体は、驚くほど冷たかった。冬の夜、なにもない草原で佇んでいたなんて…
「バカ野郎。一人で苦しんでんじゃねえよ…」
コートを真里に羽織らせると、もう一度抱きしめる。自分も苦しくなるくらいに。
「ごめんね。気づけなくって。傘だって貸せたのに…肝心の手を、差しのべられてなかった。でも、もう大丈夫。絶対一人なんかにしないよ。」
真里の涙が、じんわり肩に染みてきた。
「二度と、会えないかもしれないんだよ。」
真里が震えた声でささやいた。
「それは絶対にありえないよ。」
祐二は言った。
「どうして?」
「ここで蛍を見たとき言ったよね。『絶対また来よう』って。約束は、必ず守る。」
自然と脳裏に浮かび上がってくる。祐二と真里の、最初の約束だった。
「祐二、そんな昔のこと…」
「必ず、守る。」
祐二は繰り返した。真里の涙が、やっと止
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