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虹との約束
第一部
エピローグ
エピローグ

[8]前話
 少年は河川敷に向かった。二年ぶりの再会だ。たまたま彼女の父親が東京に訪れる機会があり、時間を取ることができたらしい。
 そっとあの日のように河川敷に腰を下ろす。風の香りも、河面に映る光の粒も、風に乗って歌う草の声も、何もかもあの日のままだ。
 河川敷の道路に、一台の車が止まった。中から一人の少女が出てくる。二年経っているのに、変わっていないように見える。また、その少女の胸には、未だ汚れ一つない、金色のロケットが光り輝いていた。
 少女が手を振ってくる。少年も振り返す。自然と胸が温かくなった。

 あの雨の日、勇気を出してよかった

 少年は思った。

 二人は駆け寄り、抱擁を交わした。少女は微笑むと、行こうよ、と言った。
 二人の男女は、春の光の中へと消えた。
 繋がれた手は、決して離れなかった。
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