第十章 イーヴァルディの勇者
第六話 曝される正体
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も、段々と不安そうな顔つきになっていく。
しんっ、と部屋が静まり返る中、不意に士郎が廊下に通じる既に名前だけになっている門に向かってデルフリンガーを投げつけた。
「「「「「―――ッ!?」」」」」
瞬間。
静止していた部屋の中が動き出す。
最も早かったのはギーシュとマリコルヌの二人。
士郎が動いた瞬間、腰を落とし扉に身体を向ける。その手の中には、何時の間に抜いたのかそれぞれの杖が握られていた。その反応速度は並の騎士団の領域を超えており、二人が扉に身体を向けた時には、未だルイズとキュルケの二人は動き出していないほどであった。
次にロングビル。
床を蹴り、扉から離れるように後ろに跳ぶと、服の中から取り出した杖を扉に向ける。床に足が着き、視界に士郎たち全員が入る位置に立つと、ロングビルは、いつでもサポートに回れるように素早く周りを見渡す。
最後にキュルケとルイズ。二人はほぼ同時に動き出した。鋭い目つきでキュルケは胸の谷間から杖を取り出し、流れるような動きでその切っ先を扉に向ける。ルイズはキュルケが胸から杖を取り出そうとした瞬間、目つきを鋭くし、取り出した時胸が大きく揺れると目つきを険しくするなど流れるように目つきを変化させながらも淀みなく杖を取り出すと、その切っ先を扉に向ける。
士郎が放ったデルフリンガーは、狙い違わず辛うじて残っていた扉のドアの一部に当たると、それを粉々に砕く。ドアを破砕したデルフリンガーは、勢いをそのままに廊下の壁に突き刺さる。
追撃を掛けようとキュルケが魔法を放とうとするが、
「待てッ!」
士郎の声に詠唱を止める。
何故止めたのかとキュルケが訝しげな顔を士郎に向けた時、廊下から悲鳴混じりの声が聞こえてきた。
「おっ、お待ちくだされ! おやめくださりませっ!」
その声が聞こえた瞬間、キュルケは目を丸くすると、完全に扉と手の機能を失った元扉に向かって駆け出した。
「ペルスランッ! あなたペルスランよねっ!?」
「ぇ? っおおっ!! あなたはツェルプストーの」
「そうよっ! ツェルプストーのキュルケよっ!」
キュルケは廊下に出ると、そこで腰を抜かしてへたりこんでいたオルレアン公屋敷の老執事であるペルスランに駆け寄る。一瞬呆然とした顔でキュルケを見上げた後、ペルスランは涙混じりの声を上げた。
「まっ、まさか再びお会いすることが出来るとは」
「あなたが無事で良かったわ。それで、いきなりだけど何があったか教えてくれる? タバサは……何処に連れ去られたの?」
キュルケが廊下に膝をつき、ペルスランの手を握り尋ねると、ペルスランは何度も頷きながら何があったかを語り始めた。
三日前の夜、突然現れた王軍に怯えたペルスランは、壁に向こうにある隠し
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