第十章 イーヴァルディの勇者
第六話 曝される正体
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が、今は緊急事態だ。タバサを救出するため正体を明かしてくれないか」
「ねえ、シロウもしかしてあなたシルフィードに聞いてるの? いくら使い魔だからって無茶よ。竜が喋られるわけがないわ」
キュルケが苦笑いしながら士郎に話しかける。士郎は肩越しにキュルケに顔を向けると小さく顔を横に振った。
「それは普通の竜の話だ。韻竜は違う」
「いんりゅう?」
は? と疑問符を頭に浮かべたキュルケを横に、ルイズとロングビルは目を見開き驚きを露わにした。
「嘘っ!? 韻竜はずっと昔に絶滅したって聞いたわよ」
「韻竜って言えば伝説の竜じゃないか。まさかこの竜がそうだって言うのかい」
ルイズとロングビルの驚愕の声に、士郎は頷く。
「ああ。間違いない。正体はバレているんだ。だからいい加減喋ってくれないかシルフィード。それともイルククゥと呼んだほうがいいか?」
「「「「「え?」」」」」
惚けたような声が部屋に響いた。
士郎の目の前のシルフィードは、その大きな瞳を更に大きく見開いた姿で固まっていた。暫くの間そのままの姿でプルプルと身体を震わせていたが、何かを諦めたように顔を項垂れると、大きく溜め息を吐き、
「どうしてわかったのね?」
と喋り出した。
「えっ、ちょ、ええっ、ええええええええええっ?!」
「は? え、しゃべ、て、え? イルククゥ? ちょ、それって」
「ちょ、ちょっと待ちな。え? シロウ今イルククゥって言ったかい?」
「ぎゃああああああああああああああああ! 竜がっ! 竜が喋ったああああああッ!!」
「しゃべ、喋っ、竜が喋ったああああああああああッ!!?」
ぎゃあ、ぎゃあと騒ぎ出したルイズたちを尻目に、士郎は淡々とした様子でシルフィードの話しかける。
「確証を持ったのは最近だな。ほら、ルイズを攫ったガーゴイルを追った時、お前が腹を鳴らしたのを怒ったタバサが叩いた時だ。お前あの時悲鳴を上げただろ」
「あの時ね。確かに痛くて思わず声が出たのね」
「ま、前々から何か変だと思って調べていたんだ。それでデルフに聞いてみたら韻竜じゃないかと言われてな」
「む〜折角お姉さまから約束してたのに〜、お喋りな剣のせいでバレてしまったのねッ!! きゅいきゅいお姉さまから怒られたらどうしてくれるのねっ!!」
「オイラに言われてもねぇ」
シルフィードの涙混じりの訴えに、デルフリンガーが呆れたような声を上げる。
「相棒にやもう、何もかんもバレてんだし。韻竜よ、いっちょ先住魔法のすごさを見せてやったらどうだい?」
士郎の腰に顔を近づけ文句を口にするシルフィードに、デルフリンガーは何の痛痒も感じていない声で告げる。
「きゅ〜〜〜い。さっきか
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