第十章 イーヴァルディの勇者
第六話 曝される正体
[6/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
んな奴だったか知ってる?」
口に手を当て小さく頷いたキュルケが、シルフィードに近づき問いかける。キュルケの問いに、シルフィードは「きゅい」と鳴くと、前足を頭の上に突き出した。その仕草に頭を傾げたキュルケだったが、直ぐにピンッと来ると思わず大きな声を上げてしまう。
「エルフッ!?」
正解と言うようにキュルケの言葉に大きく頷くシルフィード。
それに士郎を覗くメンバーから悲鳴のような声が漏れる。
「うそ、でしょ……」
「これは……まいったね」
「エルフ……なんて」
「ちょ、エルフなんて冗談じゃないよ」
「いや、ちょ、え、ええ? 嘘だろうエルフなんて」
ルイズ達が騒ぎ出す中、ただ一人士郎だけが静かに何やら考え込んでいた。
「エルフか、確か『先住魔法』と呼ばれる特異な魔法を扱う種族だったな。前に本で読んだことがあるが……詳しいことは書かれていなかったな」
顎に手を当て何やらぶつぶつと呟いていた士郎だったが、ハッ、と何かに気付いたように目を見開くと視線を下げ、自分の腰に吊り下げられた剣―――デルフリンガーを見た。
「デルフ。お前なら詳しいことを知ってるんじゃないか?」
「相棒……オイラは辞書じゃなくて剣なんだけど……はぁ……まあ、無視されるよりかはましかねぇ」
剣らしくない生々しい溜め息を吐いたデルフリンガーは、んっ、と咳払いのような声を上げると説明を始めた。
「先住魔法ってのはな相棒。系統魔法が生まれるず〜と昔から存在する魔法でな。系統魔法が四つの系統、火や水、風や土の力を司るなら、『生の力』を司る魔法さ。違うのはそれだけじゃなくてな。メイジが使う系統魔法が個人の意思の力で『理』を変えて効果を発揮させが、先住魔法は違う。先住魔法は『理』に沿って効果を発揮するんだよ」
「『理』か……それは具体的に何を意味するんだ?」
「具体的ねぇ〜。ま、自然の力のことさね。火、水、風、土……先住魔法はそのどこにでも存在する力を利用する魔法だな。系統魔法が人の意思による魔法なら、先住魔法は自然の力そのものの魔法だ。どっちが強いなんて考えれば直ぐにわかるだろ?」
「そうだな」
デルフリンガーの言葉に頷いた士郎は、顔色を悪くしているルイズたちを見渡した後、前に立つシルフィードを見る。
「だが、どれだけ『先住魔法』が強くとも、使い手によってその力は変わる。相手の力量を知ることは、タバサの救出の成功率を上げる。だからそろそろ教えてくれないか?」
「? 何言ってるのシロウ?」
「誰に聞いてるんだい?」
士郎が誰に尋ねているのかわからず、ロングビルたちが疑問を浮かべながら士郎を見る。士郎はそんなルイズたちに構うことなく、シルフィードから視線を外さない。
「何か事情があるのはわかる
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ