第十章 イーヴァルディの勇者
第六話 曝される正体
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の壁に手を触れた。
「何? どうしたの?」
壁に手を当て立ち止まった士郎の背中に向け、ルイズの声がかけられる。士郎は壁に出来た傷跡を手でなぞりながら、何かを見通すようにすっと目を細めた。
「クラスが上がったか」
「? どう言う事?」
むぅと頬を膨らませているルイズの後ろからキュルケが士郎に問いかけると、士郎は壁から手を離し視線を廊下の奥へと向ける。
「そこに転がっているガーゴイルを見てみろ」
「ガーゴイル?」
士郎の声に、ルイズたちの視線が廊下の奥に向けられる。ルイズたちの目に廊下に転がるナニカのシルエットが映る。しかし、窓から差し込む微かな月明かりだけではよく見えなかった。目を細め顔を伸ばすルイズたちを横目に見た士郎は、廊下に転がるガーゴイルに近づいていく。士郎の後をついて行くルイズたちの目に、段々とその姿を現していく。それは士郎の言葉通り確かにガーゴイルであった。だが正確にはガーゴイルだったものと言えた。剣士をかたどったいたであろう魔法像は、バラバラに切り刻まれていたからだ。その切り口は余りにも滑らかであり、その縁を指でなぞれば切れてしまいそうなほど鋭いものであった。魔法で破壊されたと思われる傷跡を食い入るような視線で見つめていたキュルケは、細い顎先に手を当てると、こくりと頷く。
「確かに……これはトライアングルじゃなくスクウェアの威力ね」
「そうようだね。しかしこの切り口……全く本当に十五歳なのかいあの子は?」
「うわ凄……はぁ……これが天才と言う奴なのかもしれないね」
「うっうっ……ぼくはまだドットだって言うのに……」
「この奥のようだな」
「そうみたいね」
切り刻まれたガーゴイルを見下ろし、何やら感心したり落ち込んだりしているキュルケたちを尻目に、士郎が廊下の奥に目をやり呟くと、同じく廊下の奥に目を向けていたルイズが頷いた。
士郎の視線の先、破壊されたガーゴイルが点々と奥に続いている。
士郎とルイズの声に足元のガーゴイルからキュルケたちが顔を上げるのを横目に見た士郎は、床に転がるガーゴイルを目印に廊下の奥に向かって歩き出した。
点々とまるで目印のように転がるガーゴイルの後をついていった士郎は、廊下の突き当りにある扉の前で足を止めた。いや、正確に言えば扉があっただろう前で立ち止まった。両開きの扉が設置されていたと思われるそこには、辛うじて片方の扉が残っていた。上下二箇所で留められていた金具はその内の一つは完全に壊れており、残った金具で何とかといった様子で扉が残っていた。その扉自体も、元々の三分の一しか残っておらず、残りの三分の一があったと思われる場所には、まるで力任せに引きちぎったような跡が生々しく刻まれている。もう一方の扉
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