第十章 イーヴァルディの勇者
第六話 曝される正体
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地解放軍に参加したぼくのご先祖がエルフに殺られた場所じゃないか。そんなところでエルフを相手にするなんて……縁起が悪いじゃないか」
「ぼくのご先祖もだよ。最後の聖地開放連合軍にいたそうなんだけど。エルフにコテンパンにやられてね。帰って来た時にはもうボロボロだったそうだよ。余程怖かったんだろうね、そのご先祖は『ハルケギニア中の貴族を敵に回しても、エルフだけは敵に回すな』なんて遺言を子供に言ったそうだよ」
「ま、それも仕方がないんじゃないかい。エルフはあまりにも強すぎた。確かにハルケギニアの貴族がエルフに勝ったという話はいくつかあるけど、代表的なものといえば『トゥールの戦い』だね。だけどマリコルヌ。その時の互いの戦力がどれぐらいか知ってるかい?」
「連合軍が七千で、エルフが二千じゃなかったかい?」
「いいや、実のところは五百だったらしいよ。流石に余りにも格好がつかなかったんだろうね」
「つまり単純に考えると、エルフはぼくたちの十倍は強いと」
「そういうことだね」
…………。
並んで小走りに走りながら、二人の顔は前に向けたまま黙り込む。
タバサ救出のため、今からアーハンブラ城に向かうはいいが、そこで待ち受けているのは、ガリア王国の兵士だけでなく、強大な力を持つエルフもいる可能性が高いことを知った二人。
声がなくなったのは、不安か恐怖からか……。
士郎たちを追いかけ完全に破壊された扉を超えた二人だったが、突然足を止めて後ろを振り返った。
二人の視線の先には、立ち上がったペルスランの姿があった。
突然立ち止まったギーシュとマリコルヌの二人に、まだ身体に力が入らないのか、微かに身体を揺らしているペルスランが声を掛けた。
「あの、どうかしましたか?」
「いや、まだ不安そうに見えたからね。ま、それも仕方がないけど安心していいと思うよ」
「そうそう。確かにエルフはメイジの十倍以上は強いだろうけど、うちの隊長はそんなエルフの千倍以上は強いだろうからね。いやホント。文字通りの意味でね。ま、それを知ってるからぼくたちも安心してついていけると言うわけで」
「ん? 何だマリコルヌ。きみはそんな心積りだったのかい? ぼくは最初から一人でもエルフを倒して学友を救おうとだねぇ」
「それじゃギーシュが一番槍で最初に突っ込んで逝ってくれよな」
「えっ……い、いや、まあ、ぼくはその、ほら、指揮官タイプというか……そういう戦い方だし……」
「いやいや大丈夫きみなら逝ける。頑張ってエルフを倒して逝こう。きみの勇姿はモンモランシーにはちゃんと伝えてあげるから」
「きみっ! それはぼくが死ぬこと前提で言ってるんじゃ! それにさっきから何か言葉に含みがあるような……」
「そんなことはないよ……」
ぎゃいぎゃいと騒ぎながら、既に姿が見え
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