第十章 イーヴァルディの勇者
第六話 曝される正体
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部屋に隠れたそうだ。そこから見たものは、シルフィードの説明と大した違いはなかった。タバサの母親は魔法で眠らされ、王軍が何処かに連れ去り、屋敷に残ったエルフが、翌日母親の救出に現れたタバサを倒し何処かへ連れ去っていったと。
特に新しい情報が得られなかったことに、落胆の色を見せる士郎たちだったが、最後に「奥さまを連行した先なら知っておりますが」とぽつりとこぼしたペルスランの言葉に、ルイズたちが一瞬でペルスランに詰め寄ると、掴みかかるような勢いで問いただし始めた。
「ちょっ、ちょちょっと! 知ってるって何処? どこなの早く言いなさい!!」
「そこは何処? 近いの? 遠いの?」
「え? え? ちょ? え?」
ルイズたちに詰め寄られ怯えるペルスランを救出したのは、横から割り込んだ士郎の手だった。
床にへたりこんだままのペルスランの襟を掴み上げ、自分の足元に下ろした士郎は、膝をつき目線を合わせるとゆっくり、優しく問いただした。
「教えてくれ。タバサの母親が連行された先は何処なんだ?」
「……あ、ありがとうございます。はい。奥さまが連行されたのは、アーハンブラ城でございます。奥さまを連れていった兵士が、アーハンブラ城に運ぶと口にしたのをこの耳で確かに聞きました」
「アーハンブラ城……確か古戦場で有名なガリアの東の端にある城の名前だよ」
ペルスランの話を聞き、顎に手をあてていたロングビルが、顔を上げ士郎を見る。
「でも、タバサが連れて行かれたかはわからないまま」
「そうだな。だが、同じ場所に連れて行かれた可能性は高い。わざわざ別の場所に拘束する必要性がないから、な」
不安気な声を漏らしたルイズに小さく首を振った士郎は、視線を不安と罪悪感に揺らしているペルスランの瞳を見る。
「ありがとうございますペルスランさん。あなたのおかげでタバサとタバサの母親の居場所がわかりました。二人は必ず助けます。ですから安心して、あなたは早くここから離れて安全な場所に避難してください」
士郎の力強い言葉に半ば機械的に頷くペルスラン。士郎はそんなペルスランに頷きを返すと立ち上がり、外へと向かい歩き出した。
「もう行くの?」
「せっかちだねぇ」
「アーハンブラ城までは結構距離があるわよ。何か足を手に入れないとね」
「ま、待つのね。ちょ、に、人間の姿じゃ歩きにくいのね。ちょ、待つのね!」
さっさと歩き出した士郎の背を、ルイズたち女性陣が小走りに追いかける。その後ろを慌てた様子でギーシュとマリコルヌが走ってついていく。
士郎に駆け寄る女性陣を追いかけながら、ギーシュは隣を走るマリコルヌに話しかける。
「はぁ……全くうちの隊長ときたら本当に怖いもの知らずだね。しかしアーハンブラ城かぁ……よりにもよって、聖
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