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ドラクエX主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
二部:絶世傾世イケメン美女青年期
百三十七話:受け継ぐ剣と想い
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くても、俺はお前を守るけど。今、お前を守れないパパスさんの分も、俺はお前を守りたい。パパスさんの剣でお前を守れれば、俺を気にかけて助けに来てくれたパパスさんも、少しは浮かばれるような気がするから」
「……」

 ……私は、パパンにも、ヘンリーにも。
 そんなに気にかけてもらう価値のある人間ではないけど。
 でも、私が実際どんな人間であるかと、周りの人がどう思ってくれてるかとは、別のことだから。

 だからきっと、パパンならそうなんだろう。

「だから、お前が嫌じゃないんなら。その剣で、俺にお前を、守らせてくれ」
「……嫌じゃ、ない」

 だけど、いいと答えてしまっていいのかどうかわからない。
 ずっと着いて来てもらおうなんて、思ってないのに。
 本当は、もっと前に別れてるはずだったのに。

「……前にも、言ったが。いる間だけでいいから。その間だけ、俺にその剣を預けてくれないか」

 ()る間だけ。
 私がヘンリーを必要とする間だけ、一緒に()る間だけ。
 そんな言い方を、自分が使い捨てでいいみたいな言い方を、またして。

 そんな扱いはしたくないのに、そんなのに甘えたらいけないのに。

「……わかった。私が無理矢理使うより、きっとその方がいいし。……大事に、使ってね」

 なのに、もっともらしい理由を見付けて。
 甘やかしてくれるのをいいことに、甘えてしまう。

 こうなるってわかってたから、逃げたのに。
 こんなことすればするだけ、後で辛くなるだけなのに。

 微笑んで鞘ごと剣を差し出す私に、ヘンリーも嬉しそうに微笑み返して受け取ります。

「ああ。大事にする。絶対に、使いこなしてみせる」
「うん。ヘンリーなら、できるよ」

 十年鍛えるうちに技術は私と大差無くなってたし、レベルはともかく(ちから)のステータスはきっともう私よりも高いし、私と違って男だから手も大きいし。
 きっと私にはできないことを、この先もどんどんできるようになっていくんだ。

 ……私が、男だったら。
 きっと今、ヘンリーはここにはいなくて、私の手も大きくて、このままでもこの剣を使いこなすことができていて。
 こんな風に、自分のズルさと向き合うこともなかったのかな。

 微笑みを顔に張り付けたままでなんとなく下を向くと、足元に影が差して。

 それでも顔を上げずに俯いたままでいると、歩み寄っていたヘンリーに抱き締められます。

「……ドーラ。お前が出来ないことは、全部俺が出来るようになるから。お前は絶対、俺が守るから。だから」
「……大丈夫。遅くなるから、もう行こう」

 慰めるように囁いてくるヘンリーの言葉を途中で遮って、胸を押し返して抱き締めてくる腕の中から逃れます。

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