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IS<インフィニット・ストラトス> ―偽りの空―
Introduction
第十四話 殺意
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が話しかけてくる。試合時は基本的にオープン・チャネルのみしか使ってはならず、本来であればあまりよろしくない行為だ。

『お初にお目にかかりまんなぁ。あんさんとはいっぺん(たたこ)うてみたかったんや』
『初めまして、橘さん。でもいいんですか? 試合前にプライベート・チャネルなんてしてしまって』
『かましまへんて。規則なんて破るためにおます。そんなんより……ふふふふ、あんさんを斬れる思うと気ぃが昂ぶってもうてなぁ、もうしんぼできへんのよ』

 瞬間、異様な雰囲気を纏う橘さん。それは圧倒的な威圧感、これに似たものを最近感じたことがある。そう、亡国機業の襲撃時。それが殺気だったということに気づく。学園での模擬戦では感じたことのない感覚……いや、千冬さんからたまに受けてたけど……彼女から感じるものは明らかにそれとは違う何かどす黒いものに思わず身が竦む。
 なるほど、楯無さんの言っていた会えばわかるというのはこういうことか。実力があっても彼女に専用機を与えたりすれば問題を起こしかねない、とのことだと思う。そんな彼女が生徒会長だったんだから本当に強さのみが求められているんだろう。ダリルさんも彼女のことはよく思ってなかったみたいだし。

『楯無の嬢ちゃんにも借りがおますけど、まずはあんさんや。せえだい気張りぃや。絶対防御がおますし死にひんやろ。ふふふ、仮に死んだかて事故や、問題あらへん』

 言葉と共に高まる殺気に、思わず身構えるが震えが止まらない。試合開始の合図はまだだけど、これだけの敵意を向けられるといつ斬りかかられてもおかしくない気分になる。

 開始直後の奇襲にも反応できるように意識を集中させるといつの間にか震えが止まっていた。直後、開始のブザーが鳴る。それは明確な殺意を向けてくる相手との初めての試合が始まったことを意味した。



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