Introduction
第十四話 殺意
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とのことで、せっかくなのでそのまま一緒に食堂に向かった。
翌朝、怪我のせいでしばらく自粛していた早朝のランニングをしていると同じくランニングの最中だった千冬さんと会った。彼女とは度々遭遇し、その度にご一緒するのだけど体力と速度が尋常ではなく始めのうちはほとんどついていくことが出来なかった。最近ではようやく最後まで置いていかれない程度にはなったけどほとんど息切れしていない千冬さんに対して、僕は地面に突っ伏して息も絶え絶えだ。
「しっかり続けているようだな。怪我の影響はなさそうだと確認できて安心したよ」
千冬さんはこう言うが、ここで満足する訳にはいかない。少なくとも、ランニング程度なら千冬さんのようにこなせるようにはなりたい。
そこまで考えてふと先日の千冬さんの言葉を思い出す。
『どうだ、今度剣の稽古でもつけてやろうか?』
あの時は言葉を濁したけど、冷静に考えれば彼女ほど剣の稽古に適した人はいない。
「ねぇ千冬さん、以前言ってくれた稽古の件、まだ有効?」
「突然どうした。あぁ、トーナメントか。ふむ、構わないが加減はできんぞ?」
「うん、それは覚悟してる。今まで、無手がメインだったから剣術は基礎こそ知っていてもそこまで応用ができないんだ。こんな言い方したら失礼だけど、もう一歩先に進むためのきっかけが欲しい。ISでの戦闘を見越してだから、生身での剣術に専念することはできないけど、疎かにもしたくないんだ」
その後、稽古とは名ばかりで試合形式での打ち合いをするも、僕は一本も取れずにボロボロになる。まるでISを装着しているのではないかと思うほどの高速移動に打ち込み、そして反応速度。でもそれらも千冬さんの技を支えるためのものに過ぎない。全てが合わさった一撃は、たとえ僕が月読を展開してても負けたのではないかと思うほどに強烈な一撃だった。
「これくらいにしておこう。さて、もう分かっていると思うが剣術においてその威力を決めるのは何も腕の振りだけではない。むしろ、足。地面の踏み込みから全身の力が問われる。だが、ISを使用した空中戦では当然ながら地面がない。本来であれば威力は激減するのだが……」
「僕には足にも装着されているブースターがある」
「そうだ。他にも至る所にあるブースターの出力を制御することで疑似的に踏み込みを作り出し、力を伝えることができるだろう。どうやら以前から使ってはいるようだが私に言わせればまだまだ無駄が多い。だが、極めればそれこそ一撃でエネルギーの大半を奪うこともできるはずだ」
一撃必殺。その言葉はまさに今目の前にいる千冬さんにこそ相応しい。彼女は、僕のネームレスと似た刀剣型の近接武器『雪片』と共に、単一仕様能力『零落白夜』によってブリュンヒルデの名を勝ち取
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