暁 〜小説投稿サイト〜
ギザギザハートの子守唄
第九章
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
「けれど悪い話じゃないでしょ」
「そういう問題じゃねえよ」
 無性に腹が立って俺はまた言い返した。
「いきなりそんなこと言われてもよ、何言っていいのやら」
「けれど嫌じゃないんでしょ」
「人の話聞いてるか?」
「そっちこそ」
 話が堂々巡りになってきていた。痴話喧嘩めいてもいた。
「聞いてるの?人の話」
「聞いてるさ。結婚しろってか」
「してもいいって言ったけれどそうよ」
 言葉はそのまま出るとは限らない。裏がある場合もある。今回はまた随分と露骨にそれが出ていた。嫌になる位にまで出ていやがった。
「そういうことよ」
「じゃあ俺に選択肢ねえじゃねえかよ」
「こういう場合は男はそうね」
「男はかよ」
「全部女が決めるのよ」
 親父さんは?って言いたかったがもうそれも無駄だった。思えばカルコークに来たのが運の尽きってやつか。とにかく完全にこいつのペースだった。
「わかったわね」
「わかったさ」
 うんざりした顔で言ってやった。表情は俺のせめてもの意地ってやつだ。
「御前の言う通りしてやるよ」
「それでいいわ」
「ったくよお」
 仲間達も鬼熊もまだいた。けれど仲間はただ見ているだけだった。鬼熊は俺達を見て笑ってる。嵌められたのが完全にわかる流れだった。
「何なんだ、ここまで」
「とんでもない話になってるんだけれどよ」
 その仲間達がやっと口を開いてきた。戸惑いまくっているのがすぐにわかった。
「結婚って何か」
「狐に抓まれた感じだよな」
「いいじゃないか、壊れた愛ってやつが回復したんだぞ」
 鬼熊は嬉しそうに俺達二人に対して言ってきた。
「それがいいことじゃなくて何なんだ?」
「さてな。何なんだろうな」
 憮然として鬼熊に言い返してやった。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ