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ギザギザハートの子守唄
第五章
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の扉を見て呟いた。正直言ってまだ信じられねえ。
「バイクで。何てこった」
「お通夜は明日らしいな」
 俺を呼んだリーダーが言ってきた。
「出るよな」
「当たり前だろ」
 俺はすぐにその言葉に答えた。
「仲間じゃねえか。葬式にも出るぜ」
「俺も」
「俺もだ」
 ここにいる奴はどいつもこいつも同じだった。だから仲間をやっている。そうじゃなきゃ仲間なんかやってる筈もない。俺達はそんな仲だった。
「じゃあ決まりだな。行くぜ」
「ああ」
 こうして俺達は死んだあいつの葬式に出た。それが終わってから残った奴等で向かったのは。病院で聞いたあいつが死んだ場所だ。線路の下のガレージ。見ればガードレールが激しくへこんでいた。
「ここにぶつかったんだな」
「そうみたいだな」
 一人が俺の言葉に応えてきた。
「血とかはなかったのかよ」
「打ち所が悪くてな。それで駄目だったらしい」
「ちっ」
 俺はその説明を聞いて。思わず舌打ちした。
「そんな簡単にくたばりやがってよ。何なんだよ」
「けれど死んだのは確かだ」
「あいつはもう」
「わかってるさ。っていうか」
 お通夜と葬式のことを思い出して。俺はまた言った。
「あいつは死んだんだ。それはわかるさ」
「そうだな」
「ガードレールがもう」
「馬鹿野郎が」
 俺は今度はこう言った。
「さよならも言わないでよ。何なんだよ」
「いや、言おうぜ」
 一人がここで言ってきた。
「ここで死んだんだからな。だから」
「ここでか」
「ほら」
 誰かがスプレーを出してきた。いつもこうした場所で落書きに使っていたスプレーだ。それを俺に手渡してきた。
「最初は御前が書け」
「俺か」
「皆で書くからな。最後の言葉だ」
「あいつのだな」
「ああ、そうだ」
 また俺に答えてくれた。
「皆で書こうぜ。最後にな」
「わかった。じゃあまずは俺がな」
「ああ、書け」
「書こうぜ」
 こう言い合ってからまずは俺が書いた。赤いスプレーだった。俺は一言あばよって書いてやった。書いていて何も言えなくなった。最後の奴が書き終えると。
 泣いた。俺だけじゃない。今ここにいる奴皆が。自然に涙が出て。それで泣いちまった。
「馬鹿野郎が」
 最初に言ったのは俺だった。
「死にやがってよ」
「全くだ」
 一人が俺の今の言葉に頷いた。こいつもやっぱり泣いていた。声まで泣いていた。
「七人でずっと一緒だって言ったじゃねえかよ」
「何で死んだんだよ」
「御前一人だけ」
 皆言い出した。涙に濡れた言葉で。六人の言葉が一つになっていた。

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