暁 〜小説投稿サイト〜
IS<インフィニット・ストラトス> ―偽りの空―
Introduction
第十三話 亡国機業
[3/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
のは彼女の背後から伸びる手のようなものが僕の脇腹を掠めて抉った瞬間だった。

「あぅっ!」
「はっはは! さんざん私をコケにしたてめぇにはお仕置きしないとな!」

 急に襲ってきた痛みに体を硬直させた瞬間にオータムは僕の拘束から抜け出し、ISを完全に展開させる。その彼女の背後からは黄と黒の禍々しい蜘蛛の脚のようなものが、8本伸びている。その先端は刃物のように鋭い。
 一方、不意の一撃を受けた僕の脇腹からは少なくない出血がある。準待機モードだったが、絶対防御が発動しなかったのは致命傷足りえないレベルの攻撃だったからだろう。それでも出血を抑えるためにISの保護機能が働いている。

「紫音ちゃん!」

 楯無さんがこちらの様子に気づいたのか声をかけてくる。しかし潜伏者から気を逸らした一瞬に相手が動きだす。イグニッション・ブーストを使用したのか、気付いた瞬間にはオータムを連れて僕らから離れた位置に立っていた。あまりの速度に僕も楯無さんもほとんど反応できずにいた。

「く、しまった」
「リラ! 何しやがる!?」

 突破を許した楯無さんは自分の失態に顔を歪め、オータムは自分を連れて離れたリラと呼ぶ相手に声を荒げる。
 そこにいるのは真っ黒な装甲に覆われた見たことも無いフルスキンタイプのISだ。その姿は悪魔を象った鎧を纏う騎士のようであり、オータムのそれとは違う禍々しい雰囲気を醸し出す。その背後には翼のようなものがあり、月読に似ているようにも思えるが、受ける印象は全く違う。

「これ以上は危険。ブリュンヒルデに気付かれた」
「なっ……ち! 仕方ねぇ」
「待ちなさい!」

 リラが機械で作られたような声で告げる。恐らくISを通して声質を変化させているのだろう。オータムはその言に渋々ながら従う。もちろん、楯無さんがそれを黙って見過ごすはずもなくランスに仕込まれたガトリングで妨害しようとするが、リラが繰り出したブレードの一閃で全て防がれ、そのまま離脱を許してしまった。

「くっ……紫音ちゃん!」
「ごめんなさい……楯無さん。失敗しちゃいました」
「いいわよ、それより傷は大丈夫なの?」

 あっさり逃げられたことに楯無さんは苦虫を噛み潰したような表情になるも、すぐにこちらに向き直り、駆け寄ってくる。その言葉と表情から本気で心配してくれてるのが分かるが、それよりも自分の失態で亡国機業を逃してしまったことへの悔しさが先に立つ。

「なんとか……。出血は月読が抑えてくれてます」
「とりあえず、医務室に行きましょう。それに」
「お前たち、何があった!」
「織斑先生に事情も説明しないとね」

 リラがオータムに告げたように、すぐに千冬さんがやってきた。彼女らがあと少しこの場に留まっていたら確かに千冬さんと挟撃も可能だっ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ