Introduction
第十三話 亡国機業
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「いえいえ、そう言わずにカタログだけでも見てください!」
僕がきっぱり断ったにも関わらず、笑顔は崩さず、よりアグレッシブになり迫ってくる。ちなみに僕が彼女の相手をしている隙に楯無さんは周囲に気を配り、潜んでいるであろう人間を探っている。
『見つけたわ、ほぼ確定ね。潜んでいる人数は一人。あとはカマかけてみて反応したらすぐに確保しましょう。紫苑君はその人をお願い、私は残りを押さえるわ』
『わかった』
どうやらビンゴだったようだ。なら、僕はこの人を逃がさないように取り押さえなければ。もし本当は違ってたら……ごめんなさいで大丈夫かな?
そんなどこか場違いな考えも浮かんでくる。本来であれば世界的な秘密結社の人間に狙われているという時点でかなり危険な状況のはずだけど何故か不安はない。今隣にいるのが誰よりも頼りになる人だからだろうか。
「それよりもお伺いしたいことがあるのですが」
「あ、はい、なんでしょうか?」
依然としてカタログを持ってこちらのすぐ近くで笑顔を浮かべている女性。この距離ならすぐに組み伏せることができる。
「亡国機業は何が狙いですか?」
「なっ!?」
その反応だけで十分だった。カタログを持っていた彼女の手を捻りあげ背後に回り、そのまま地面に押し込む。完全に極めている上に部分的にISも展開しているため、通常なら振りほどくことは不可能な状態だ。
「て、てめぇ!」
先ほどまでの口調や笑顔はどこへやら、その言葉は荒くなり必死にこちらに向けた顔からは笑顔も消えており、ただ睨むだけだ。しかし、この状況に至っても彼女の仲間は出てこない。そのせいで楯無さんも下手に動けずにいる。
仕方ないので、今のうちに彼女からできるだけ情報を引き出そう。名前や目的など聞きたいことはいくらでもある。
「こ、このオータム様をなめるなよ! 大人しくてめぇのISを渡しやがれ!」
……聞かないでも喋っちゃったよこの人。上手く誘導すればいろんな情報が引き出せるんじゃないだろうか。
「完全に極まってるから無駄ですよ。仮にIS展開させてもこの状態から抜け出すのは難しいはずです」
「ちっ、黙れ!」
「あなたのパートナーはまだ隠れて出てこないですね」
「リラの奴はパートナーなんかじゃねぇ、私のパートナーは一人だけだ!」
また一つ新しい名前が出てきた、恐らくもう一人の名前だろう。彼女の言う本当のパートナーとやらは気になるけど……。
簡単に情報を喋るオータムに、僕は油断していなかったと言えば嘘になる。この素の姿と先ほどの姿とのギャップやここまで潜入したことからその方面では優秀であることに一度は思い至ったのにも関わらず、あっけなく話が進むことに気が緩んでいた。
しかし、そのことに気づいた
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