笛吹き、隷属する
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」
「?別に問題になることは何もしてませんよ?」
歌い手は本気で分かっていないようで首をかしげるけど・・・これが問題にならないはずがない。
「貴方、賢いかと思ったけどバカなのね・・・いい?貴方はサラマンドラの所有物を勝手に奪ったのよ?」
「ああ、そのことですか。それなら、本当に何も問題ありません」
そして、歌い手は私に顔を向けて、
「サラマンドラからの依頼を受けて、ラッテンさんは正式に僕の所有物になりました」
まあ、所有物扱いする気は一切ないですけど、と歌い手は言ってくるけど・・・私はその話を飲み込めずにいた。
「・・・なんで、わざわざそんなことを・・・」
「なんでって・・・その、ラッテンさんは僕とはなれたら霊格が磨耗しすぎて消えてしまうみたいですし、だったら一緒に“ノーネーム”にくれば大丈夫かな、と・・・初めて一緒に音楽を奏でた人が死んじゃうのは悲しいですし・・・」
確かに、全力の演奏をして霊格が磨耗している私が消えていないのは、歌い手と私の“共鳴”のギフトが発動しているからだ。
でも、その喋り方からは、それもまた本音だけど全てではない、と言う感じがした。
「・・・本当のところを言いなさい。何が目的?」
「う・・・話さないとダメですか?」
「ええ。何が目的なのか分からないまま、ついて行くことなんてできないもの」
これだけはしっかりと知っておかなければならない。
内容によっては、この話は拒む。“グリムグリモワール・ハーメルン”の生き残りとして、マスターとヴェーザーに顔向けできないようなことは絶対にしない。
「・・・一緒に音楽を楽しめる人が欲しかったんです・・・」
そして、歌い手の口から出てきた言葉は、私の意表をつくには十分だった。
「・・・プッ。アハハハハハハハハハハハ!アハハハハハハハハハハハハハハ!!」
「な・・・そんなに笑わなくてもいいじゃないですか!これでもかなり恥ずかしいことを言わされたんですよ!?」
「ええ、それは分かってる。分かってるけど、そんなことで敵対してたコミュニティのメンバーを誘うなんて・・・連れて行けるように交渉するなんて・・・ああダメ、耐えられない!腹筋が痛い!」
私は恥ずかしげもなく、おなかを抱えて転げまわりながら笑った。
着ていた服は同じものだったからかなりきわどくなっていた気はするけど、そんなこと気にも留めないくらいに笑っていた。
「うう・・・やっぱり話すんじゃなかった・・・」
「ごめんなさい。でも、今のは笑って当然だと思うわ」
ああ・・・よく笑った。
にしても・・・これは信用してもよさそうな気がしてくるから不思議なものね。
一緒に音楽を楽しめる人、か・・・確か、私も最初はそんな人が欲し
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