第一物語・後半-日来独立編-
第六十一章 覚醒せし宿り主《1》
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「セーラン。貴方が動き出したのなら、わたしも動かなければいけないのでしょう。琉神さん……もうそろそろ動き出しましょうか」
落ち着いた口調で、再び会える日を望んだ。
彼も、彼女も、わたし自身も変わった。
多くの命の上で成り立ったこの命に感謝すると共に、同じ運命を辿った二人を想う。
二人がいたから、今の自分があるのだから。
●
奏鳴は眩しく、しかし目が痛くならない不思議な光のなかにいた。
青く、下から上へと流れる無限の光。
光の正体はなんなのか、それはすぐに分かった。
「流魔なのか、この光は」
そう、流魔だ。
この世界に等しい量あり続ける流魔。
奏鳴は流魔によって包まれ、護られていた。
解放の速度が無限に現れる流魔を解放仕切れず、本来解放される筈の奏鳴が後回しにされている。
全ては目の前に立つ、セーランによるものだった。
青く包まれるなか、あるものを奏鳴は見た。
目を疑った。何故にあるのか。
セーランに無い筈のものが。
「右腕が……」
ある。
付け根辺りから無かった筈の腕がある。だが、それは当たり前に見掛ける人のものとは明らかに違う。
手は爪のように鋭く、右の腕全てが青い結晶だった。
青く光っているからではない。右腕自体が、既に青く、形をなしているのだ。
異常な力を放つそれは、この世のどれよりも綺麗で美しい。
宿り主として、また彼も宿り主だったのだ。
神の力が周囲に拡散し、力によって物事を制圧しようとしているかのようだ。
絶対なる強者の力。
「俺が宿してるのは、新世ノ神が一柱、愚かなる傀儡の神として祀られた“傀神”だ」
「愚かなる、傀儡の神?」
「分かる奴は分かるんだけどな。まだまだマイナーな神なんだよなあ」
聞いたことの無い神の名に、頭上に疑問符を浮かべる奏鳴。
それもそうだ。そもそもこの神はある小さな村にのみ祀られており、新世ノ神、つまりは次世代神であるがゆえに旧世代神の名に潰れ、表立って目立つことはない。
言うなれば名の知れない神、と言ったところか。
「命執り掴みし輪廻の神“執神”と、王たる新世裁き破滅の神“琉神”。これら三柱と共に“三獣ノ神”て呼ばれてる」
「つまり後二人の宿り主がいるということか?」
「ああ。んでもって、俺の故郷はナモナキムラ。十年前に、神のお告げで滅ぼされた村だ」
重要なことをさらっと言ったセーラン。
あまりにも平然というものだから、驚きのあまり声も出なかった。
何故か。簡単なことだ。
神のお告げは絶対だ。それを無視することは、彼ら人類には出来無い。つまり、神のお告げを無視した者は大罪人として見られることとなる。
そう、セーランもまた罪を犯しているのだ
「俺も罪人。でもさ、ただ生き残
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