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さんすくみっ
第一部
終幕
終幕
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「ケッケッケ。おかえりー」
「……なんだよ、それ」
 顔をぐしゃぐしゃにした俺を嘲るように笑うそいつ。
 俺はあれから、山城という男に頭を下げた。最初は警察云々を言っていたらしいが、俺が会った時男は何故か笑顔で「うん。まあ、若い時はそんなこともあるさぁ」なんて言った。
 ある意味そのわけのわからなさが良かったのかもしれない。そうでなければ、また襲っていたのかもしれなかったのだから。
 そして、その理由はすぐに明らかになった。
「…………え?」
「ケッケッケ。俺からの入学祝いだ」

 俺の机の上にあったのは、一つの三味線だった。
 そう、その美しい模様も忘れもしない。あいつの──

「…………これ、どうしたんだよ?」
「買った」
「…………買っただと?」
「ああ、あのオッさん、十億も出したら喜んで差し出してくれたぜ。ケッケッケッケッケッケッケ」
「………………」
 何やら長く笑っていたが、最早、その声は俺の耳には届いていなかった。
「……お前に……教えたい『詩』があるんだ」
 俺はゆっくりゆっくりと、踏みしめるように三線に近づき、優しく抱きしめた。
「人間になって……俺は……いろんな『詩』を知った。……どれもこれも本当にすっげぇもので……。それでずっと……ずっと、伝えたくて……」
 ああ、クソッ。
 もう、出ないってくらい流した筈なのに。
 こんなみっともねえ面なんざ見せたくないのに。
「『ありがとう』。俺の子供を産んでくれて、俺と一緒になってくれて……本当に…………『ありがとう』」

 まだ涙が止まらない。

「これは?」
 三味線の側に置いてあった、それに気づいた。
 この独特な色合いには覚えがある。
「ケッケッケ。てめェが人間になった時にまだ腕の使い方もわからなかったくせに必死こいて握りしめていたカルシウムの塊だ。そいつをちょいと拝借してピックというやつにしたんだ」
 …………………。
「なあ?」
「ん?」
「こいつの弾き方を知りたい。学園に誰か教えてくれるヤツはいないか?」
「ケッケッケ。ああ、一人いるな」
「じゃあ──」
「ケッケッケ。それはお前が見つけろ。俺はお前のお母さんじゃねえ」
「……ああ、そうだな」
 『死ぬよりも辛い、生きるよりも笑える、そんな呪い』。
 俺は自分の右手を見る。
 蛇には無い人間の手。
 なあ『呪い』?
 あの時お前が言った言葉、最初はまるで理解できなかったが、今はほんの少しわかった気がするよ。
「なあ、『呪い』」
「なんだ?」
「『ありがとう』」
「ケッケッケ」


「ケロっ。ミーくん、ご飯食べよ?」
 あれから丸一日ほど経った。
 仮に俺達がどんなドラマチックでファンタジーな日常を過ごしたところで、当然だが地球の動
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