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さんすくみっ
第一部
終幕
終幕
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きは変わることはない。
 まあ、だからと言って、俺達がまるで変わらないというわけでもない。
「わりぃな、カエル」
「ケロ?」
「今日はちょっと行かなくちゃならんとこが………………っておぃいいいいいいいいい!?」
「ゲロロロロロロロロロ」
 何かカエルが涙を流しながら胃袋吐き出してる!?
「てめェ、何してやがんだよ!?」
「ミーくんが私のこと嫌いに──」
「なってない。なってない。なってないから、それをとっととしまえや!」
「……ミーくん、マイ、フレンド?」
「イエス。イエスだから、お前これちょっと、これ小腸まで!?」



「おい、ゴリラ」
 なんか色々な臓器を吐き出してるカエルをなんとか保健室まで連れて行った後、俺はあの日の様に職員室まで足を運んだ。
「お前はもうそろそろ私を先生と呼ばんか。それに、私は純正の人間だ」
 うっせえよゴリラ。人間扱いして欲しけりゃ、まずその毛皮と、迸るもっさり感をなんとかしろ。
「まあゴリラ、聞け。なんとも素晴らしい心を持った生徒がなんと日頃の感謝を込めて、ゴリラのためにこんなものをプレゼントするぜ」
 そう言って俺が取り出したのは一房500円もする高級バナナである。なんか、登校中八百屋で売ってた。……まあ、死んでもそのことは言わんがな。
「……なあ、巳上」
「なんだよゴリラ。ありがたすぎて言葉も出ないか」
「いや……そうじゃなくてな?」
「なんだよ、とっとと言えよ」
「…………気持ちは凄く嬉しいんだ」
「べ、別に感謝とかしてるんじゃないんだか──」
「嬉しいんだが……」
 ………………が?
 何だ? 何か雲行きが……。
「……その、なんだ。私は……バナナアレルギーなんだ」
 …………………はあ?
「はあああああああああああああああああああああああ!?」


 結局のところ、俺は人間を好きにはなれなかった。今だって機会があれば、あの野郎を殺したいとも思う。
 だけど、そんな俺もどこからどう見てもただの人間で、そして、俺の大好きな奴らも漏れなく人間だった。
 俺はいつの日か、あいつらと同じように、いやその半分でいいから人間を好きになれる日が来るのだろうか。
 ……いや、きっと来るのだろう。
 なんたって、あんなたくさんの素晴らしい『詩』を作るような生き物だ。好きになれない筈がない。
「このバナナどうしたもんかな」
 俺は溜息混じりに、結局貰ってもらえなかった黄色い果実を見る。流石に一人で食う量ではない。
 つかあのツラでバナナダメとかおかしいだろ。遺伝子的な何かが突然変異でも起こしてるに違いない。
「…………うん」
 まあ、あいつらと分けりゃいいか。
 俺は携帯を取り出し、あいつに電話をする。


「ゲロォオオオオオオオオオオ」

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