第一部
第三幕 畜生叫ぶ
第三幕 畜生叫ぶ
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く目を開く。
何だよ、これ。
──一時間前。
場所は閲覧会会場。当然であるが、沖縄出身だからと言って、沖縄について全てを知っているわけではない。というか沖縄にいた頃はもっぱら草をかき分けることくらいしかしてなかった俺からしてみりゃ、ここにあるほぼ全てのものが、初めて目にするものであった。知っているものなんで星の砂くらいである。……あれチクチクして痛ェんだよ。
まあ、芸術関係に疎い俺にとっては、シーサー? とかいうものよりも、黒砂糖やサーターアンダギー、沖縄そばばかりに目が奪われていた。
「ケロ。全体的に脂っこいけど、美味しいです」
「フフ。あんまり食べたら太ってしまいそうだね」
「そのまま動けなくなってくれたら万々歳だ」
俺はラフテーとかいうブタの肉を煮た物を見る。……今週はブタが酷かった。あのブタ、合計十回くらい来てたからな。……一日二回以上だ。
俺は複雑な気分になりながら、フォークで肉片を突き刺──
「アフン」
「…………………」
肉片を突き──
「ウッフン」
「………………………………………………ふぅ」
俺はゆっくりとフォークを起き、席を立つ。
「ケロ? ミーくんどうした…………ケロ!?」
「いやな。ちょっと、調理室を…………燃やしてくる」
「ケロロ!? ミーくんの目が殺気に満ちています」
あはははははははははは。何を言ってんだろうなこの胃袋は。
「ケロッ! 行かないで!」
ええい。離せ! 変なところ掴むな!
「次はどこへ行こうか」
「ヌーちゃんスルーケロ!?」
というか、このナメクジ、なんで分厚い小説を読みながら美術鑑賞なんざしてるんだよ? 普通不可能だろ?
「この三味線展示会というのが展覧会の目玉らしいね」
「……三味線」
「ケロロ、ミーくん三味線知ってるんですか?」
「知らん」
見たことも食ったこともない。
「フフ。弦楽器のようなものだと記憶しているよ。演奏というよりも歌と合わせることが多い楽器だね」
「弦楽器?」
「ケロロ。知ってます。バイオリンやギターみたいな弦という紐のついてる楽器ですよね」
「流石ケロちゃん」
ナメクジが本から目を離さず、胃袋にいい子いい子する。ここまで、慈しみを感じないいい子いい子も珍しい。
「食いもんじゃないのか」
途端に興味が無くなる。
そりゃ、音楽マニアの胃袋や、……よくわからんマニアのナメクジは楽しかろうが、俺からしてみたらどうでもいい。
「ケロケロ。きっと、楽しいですよ? なんでも、時価一億の三味線が出てくるとか」
「はっ。一億ねぇ」
ネコの件でかなり金銭感覚が麻痺した俺からするとなんだかなぁ。
一億という数字自体、アボガドロ定数と比べたらカスみたいな数字だ。
「まあ、行くだけ行って
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