覇王、乱世の箱を問う
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えている私の様子を見てか、星が突然吹き出した。
「くっ、あははは! 温和な白蓮殿がそのような物騒な事を言いなさるとは……ふふ、さすがに思いませなんだ」
むっとして非難の目で見つめると、
「いやはや、また勘違いなされておりますな。褒めておるのです。まさしくあなたは英傑であり、そして我が主に相応しい。あなたのような方の為に我が槍を振るえる事、誇りに思います」
綺麗に、見る者全てを魅了するような笑みで私の事を認めてくれた。
「白蓮様……私は、一生あなたに、ついていきまわぷっ!」
涙ながらにしゃくりあげ、言葉の端々を区切って言う牡丹に愛おしさを感じて抱きしめた。こいつには随分と世話になっているから。
「星、ありがとう。牡丹もいつもすまない。お前達となら、お前達がいてくれたら私はどれだけでも強くなれる。皆で守ろう」
感極まって大泣きし出した牡丹と、微笑みながらこちらを見る星と共に、少しの間そのままの時間を過ごす事にした。
遠くにいる友に思いを馳せ、かつての願いを果たす為に、私達はそれぞれが覚悟を決めた。
†
「劉備の元に使者が行ったくらいが頃合い、か。二つ共に合わせて先手を打ちましょう。稟、私の元に来て早々で悪いのだけれど孫策の元に使いを頼めるかしら? まだどこにも顔の割れていないあなたにしか出来ない事なのよ」
「華琳様の望みとあらば」
「ふふ、虎牢関で返し損ねた借りを返すいい機会だわ。利子をしっかりと付けて……ね」
覇王の盤上は広がった。
皮肉な事に、欠片をもたらしたのは一番に彼女の打倒を目指す二人の人物。
彼女は、倒そうと策を巡らせれば巡らせるほど、手を打てば打つほどに全てを呑み込んで、平らげて行く。
まさしく、誰かが行った評価の通りに、彼女は乱世を喰らう化け物であった。
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