覇王、乱世の箱を問う
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るのか。
「……クク、風め。やはりままならんか」
隣で不敵に笑う星の表情はどこか楽しそうに見えた。彼女の古き友が曹操の元に士官しているのだという。劉備軍の二人の天才に勝るとも劣らない軍師である、とのこと。
「ごめんなさい! この罰は、不手際は、命をもって償うしかありませんもはや私には生きている価値もないのですそうです白蓮様の望みを叶えられない期待に応えられない私なんか死んじまうしかないんですああだめです秋斗に合わせる顔もありません何が白蓮様は私が守るでしょうかもう既に守る事の一端を綻ばせてしまいましただめですこれではあいつは私達の元に帰って来てくれません白蓮様の為にあいつをここに呼び戻したかったのにもう今ここで自分の首を切り落としましょういや脳髄を洗わないと「牡丹! 少し! 黙れ!」うひゃ! 申し訳ありません!」
いつものように黙らせると牡丹は口を噤んだが……悔しさから涙を大量に零し始めた。
「牡丹、曹操が上手だっただけだ。私達は少し甘かったんだ。お前は良くやってくれた。だからそんなに自分を責めるな」
「そう、既に城に着いた時から策を巡らせていたのだろう。私の古き友は人の心を読み、操るのが上手い。ましてや初対面、そして私という隙があった。ならば引っかからない方が難しいというモノ」
星の名前を出したのは、きっと星自身に対する友からの警告の意味もある。
友ではあるが違う主に仕える者。だからこそ容赦はしない、そう宣言しているのか。つまり、曹操も袁家と同じく大陸を制覇する為に動くと言う事を暗に伝えているわけだ。
こうなってしまっては私達が一番にすべきことはなんなのか。この家を守る為に出来る事はなんなのか。
そうだな、私も変わらなければいけない頃合いか。覚悟を高める時機が来たのだろう。
こんなに尽くしてくれる友と家臣、そして何より全ての愛する民の為に。
「牡丹、星、よく聞け。私は今回、自分からは攻めない」
二人は驚愕に目を見開き、何かを言い返そうとしたがその言葉を呑み込んでくれた。
「……知れた事。舐められたままで同盟など組めるか。今のままじゃ曹操の奴に主導権を握られっぱなしになるだろう。それなら牡丹が、私の代弁者たる片腕が啖呵を切った通りに、私達のみで袁家の手を跳ね除ける。その上で、対袁家の戦の主導権は私が取らせて貰う」
言い切ると、自分の脚が少し震えている事に気が付いた。こんな大言、私には似合わないな。
しかし従属するだけなんてのは真っ平御免だ。私達には私達の生き様があり、譲れない矜持がある。民も、臣下もそんな私について来てくれるわけなんだから、それを示さなければ皆落胆し、希望を見失ってしまうだろう。
弱い太守の元では平穏は生まれない。だからこそ、私がすべきことは民達に私達自身の力を示す事なんだ。
少し震
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