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乱世の確率事象改変
覇王、乱世の箱を問う
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大半を巻き込んでの反袁家連合とでも呼べる膨大な展開に行きつく策だ。それを内密に進めようとしている。声高に檄文を飛ばす時間も権力も無いからこそ。
 そこまで考えて身体に歓喜の震えが起こった。
 あれはぬるま湯にほだされず、ただ一人身の内の刃を研いでいる。その刃の向かう先は袁家ではないのだ。今、その切っ先が向けられているのは――――私。
 もし公孫賛が生き残ったのならば、劉備、公孫連合は確実に組まれるだろう。そして真っ先に……私と戦う事になるのだから。
「さて、返答は如何に」
 積み上がる思考をそのままに関靖に問いかける。
 目に涙を浮かべて顔を上げた彼女の返答は、
「分かりました。我ら幽州の底力、見せて差し上げます」
 是であった。ならこの後の細かい交渉は軍師に任せる事にしよう。
「では後の細かい交渉は我が軍の軍師と行って貰う。風、今後この話についてはあなたに全て一任する」
「御意。では関靖さん、どうぞこちらにー」
 一言残して謁見の間を後にする風と関靖を見送ると、桂花が少し赤い顔をして口を開いた。
「華琳様は……どの箱をお選びになられるのですか?」
 先の問答に対する答えを聞いてみたいと、彼女はそう言っている。
「ふふ……全ての箱を開けさせて、中身のいい所の全部を貰うわ。桂花、稟。あなた達の予想を聞かせなさい。風が帰って来たら今後の動きを決める為に軍議を行う」
 そう、この乱世で全てを手に入れる。腐ったモノを除去しながらそれを行う為には何をすればいいのか。
 徐晃、あなたはその場で打てる最良の先手を打ってきた。この話に乗っていたのなら早い時期に私と決着を着けられたことでしょうね。
 でも私はそっくりそのまま、いえ、もっと有意義に、私の為に利用してあげるわ。それでも生き残れるなら劉備とあなたは私の前に立つに相応しい。
 零れる微笑みに私が話を促していると取ったようで、桂花と、風と共に新しく陣幕に加わった郭嘉こと稟は、それぞれが今後の展開について己が意見を話し始めた。


 †


 幽州にて、各地に斥候を放ち、特に袁家関係には神経を研ぎ澄まして情報収集に専念し、練兵も徴兵も滞りなく行っている頃、牡丹が曹操の元から帰ってきた。
「なんだと? 曹操は自分からは動かない、本当にそう言ったのか?」
「は、はい。申し訳ありません! 私が……私が余計な事を言ったばっかりに……」
「どういうことだ?」
 聞くと牡丹は曹操と行われた問答をつらつらと説明してくれた。
 私がどの箱を選ぶか、についてはまさしくその通りだったので牡丹の私に対する把握能力に舌を巻いたが、問題はその問答に隠された意図だった。乱世の対比、そう呼んでもいい。
 曹操は今回の交渉を私達が考えた策では無いと見抜き、改めて私たちの実力を示せ、そう言ってい
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