第一部
第二幕 畜生部活に入る
第二幕 畜生部活に入る
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切れと?
「ケ、ケロ!? もしかして、指切り知りませんか?」
「……お前の言いたいことが俺にはわからん」
国語とか好きなやつは、わかったりするのかねぇ。あのナメクジとかならわかりそうだ。
「そっか。確か、あなたは私たちと同じなんですよね」
「同じ……まあ、そうなんだろうな」
正直一日に二回も内臓吐き出すような奴と同類扱いされたくないけどな。
「あの……右手を出してください」
「はあ?」
「ケロ! お願いします!」
「……わかったからボリューム下げろや」
俺は女の前に右手を差し出す。
「次にグーを作ってください」
「ん」
「次に小指だけ、少し浮かせてください。小さな輪ができるくらい。……ああ、そうです。そのくらい」
……おい。近い。
胃袋女の顔面と俺の右手の距離は数センチもない。…………ちょっとイタズラをしたくなってしまうじゃないか。
まあ、これ以上ややこしくするのも面倒だし、我慢するが。
そんなことを考えていると、俺が作った小指の輪に、女が自分の小指を通した。
「あ?」
何してんのこいつ。
俺が数秒ぼーっとしてると。
「ゆーびきりげんまん」
なんか繋がった手を振りながら歌いだした!?
「うそついたら針千本のーます」
針千本!?
あまりに尋常でなく、かつ非人道的な所業。んなもん飲んだらハリネズミになるわ!
「指切った!」
そう言って、女は俺の右手を解放する。……………今の何?
当然だが俺の指には傷一つない。こんなんで切断できるほどこの女は筋肉質でもない。
「今のは?」
「ケロ。指切りっていう、人間((私達))の文化です」
「…………」
文化……なんたっけそれ。
「ケロ。もし自分の言ったことに嘘をついたり、約束を破ったら、針千本飲まされても文句を言わないというおまじないです」
次々とよくわからん単語を出してくんなや。
「…………小指の意味は?」
「…………ケロ。その辺はスルーで」
なんかスルーした!?
……なんつーか、おっかない文化(おまじない?)とやらもあったものだな。嘘ついたら針千本って、俺の先祖は基本的に嘘つきだしな。なんか、人間に絶対食ってはいけないリンゴを騙くらかして食わせたらしいし。身体の模様なんかも、有る意味では獲物を騙くらかすためにあるしな。
まあ、今回の場合、目の前の胃袋を食わなけりゃいいだけの話らしいが。
「ケロ。ミーくんもやってみませんか?」
「…………ミーくん?」
「ケケロ!? その、友達になったから、それで巳上くんって呼びづらいし。可愛くないし」
なんか名前が可愛くない呼ばわりされた。……つか、いつから俺たちは友達というのになったんだよ。
「め、迷惑ですか?」
「迷惑ってわけでもないが…………ああ、面倒い。
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