暁 〜小説投稿サイト〜
さんすくみっ
第一部
第二幕 畜生部活に入る
第二幕 畜生部活に入る
[4/19]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
も受けられないままに、あの部活に強制入部させられた。明日から毎日行かないといけないというが、二度と行くわけがない。幽霊部員サイコー。
「ああ、そうだ」
 弁当箱返さないと。
 この寮は食堂があり、自前の弁当箱を持って行けば、次の日にはその弁当にこんもりのオカズを入れてくれるというシステムだ。つまりは、沢山食いてー奴はでっかい弁当を、そんなに要らない奴はちっこい弁当を持って行けばいい。ちなみに俺のは、男子にしては小さいが女子のと比べると大きい、まあ平均的なものだ。今日はこの量で多くも少なくもなかったから、明日からもこの弁当箱にしようと思う。
「おばちゃん」
「おお。巳上くん、おかえり。学校はどうだった?」
 おばちゃんはムッチリとした体型の中年の女性だ。個人的には愛嬌のある人で嫌いではない。
「あー。いろいろあって疲れた。もう寝たい。そして明日から引きこもりたい」
「おやおや」
 笑顔を浮かべるおばちゃん。人の不幸話がそんなに楽しいのかね。
「これ、弁当箱」
「はい。お粗末様でした」
 ……お粗末様。どういう意味だろう。今度誰かに聞いて見るか。
「……ああ。そうだおばちゃん」
「なんだい?」
「昼、俺の声聞こえた?」
 なんとなくそんな事を訊いてみる。
「さあねえ? 何か叫んだのかい?」
「…………いや、何でもないよ」
 馬鹿だな、俺。んなもん聞こえるわけ──
「強いて言うなら、『いただきます』と『ごちそうさま』くらいかねぇ」
「え?」
 確かに俺は食べる前に『いただきます』と言い、食べた後も、ゴリラに習って『ごちそうさま』と言った。
「あんた、もしかしてそのことを言ってたのかい?」
「あ、ああ」
「あっはっはっは。そんなん料理を作ってる人間からしたら、聞こえて当然だよ」
「…………」
 …………とりあえず、料理人は全員エスパーか何からしい。
「寝るのもいいけど、まずは風呂に入ってきたらどうだい?」


「ふぅ……」
 俺は大きな湯船に一人その身を沈ませる。やべぇ。あったけぇ。溶けるぅ。何かダシとか出るぅ。
 寮内にある共有風呂は、一定の時間ならいつでも入ることができる。ただ、基本カラスの行水な男子しかいないのだから、混む時間帯で無ければこんな風に一人で浴槽を占有することも可能だ。
 そういや、あのナメクジ野郎はどこに住んでいるのだろう。
 俺達『元』畜生には、当然ながら家族や親戚なんざいないはず。つまりは、あいつもどっかの男子寮にいるはずだ。
 と、そんな事を考えていた時だ。
「誰かいるのかい?」
「…………ここかよ」
 俺は思わず半眼になって、そいつを見た。
 メロンやスイカの様な半球を垂れ下げた、髪の長い男。
 噂すれば影もいい加減にしろよ。
「おや。誰かと思えば新人君じ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ