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さんすくみっ
第一部
第二幕 畜生部活に入る
第二幕 畜生部活に入る
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、この胃袋だってわかるんだよ」
「ケロ。胃袋言わないで」
「………………」
 ナメクジはしばし沈黙する。……何を思考しているのだろうか。
 ここに俺を呼び出したのは、そんな事を言うためではないのだろう。それこそ、あの残念な胃袋にだってわかるような事を並べてもしょうがないのだ。
「君達は、ミーくんの言うところの『呪い』さんについて、どれだけのことを知っていて、そして考察してるんだい?」
「ケロロ。あ、あんまり良くは知りません……」
「知る必要、考える必要、ついでに言えば、仮に何かを知っているか考えるかしてたとして、それをお前に伝える必要、その全てが無いと俺は思ってる」
 足し算しか知らない奴に、外積の計算をさせたところで何の意味もない。仮にできたところでそれを有効利用することもできない。ならばあえてその問題を解かせる意味はない。それと同じようなものだ。
「必要が無い。…………ハハ」 
「!?」
 ナメクジが……本を閉じた。
 あれ程までに本から目を離さなかったあいつが、じっとこちらを見つめている。底の見えない黒い瞳。不意に震える足。
「ケロ? ミーくんどうしたの?」
「うるせぇ」
 畜生の頃、比較的食物連鎖のてっぺん付近にいた俺があまり味わうことがなかった感覚。
 喰われる。
「…………ハハ。なるほど。これが天敵という奴か」
「フフ。違うよ? ボクは君の天敵じゃない」
「……じゃあ、なんだっつーんだよ?」
「決まってるじゃないか」
 そう言って、ナメクジは右手を前に出す。
 …………なんだ? 何をす──。

「今から君達に、死ぬよりも辛い、生きるよりも見惚れる、そんな呪いをかけてあげる」

 ギュゥウウウウウウウウウウン!

「なっ!?」「ケロロ!?」
 突然、ナメクジが差し出した手の平にすっぽりと収まる小さな、しかし見るからに強力な水の渦ができた。なんだ……それ。
「えいっ」
 ナメクジはそう言って、その水の渦を自身の真上に投げ上げる。
 数メートルほど上空へと跳ぶと、渦は大きく、しかし弱くなっていく。そして最後には弾けて消えてしまった。
 ……そして、そこには。
「ケロォ」
「……………………」
「フフ」
 暮れる夕日を環状に囲む七色の光──虹ができていた。
 俺と胃袋は思わず、それに目を奪われる。
 さっきの渦による水を広範囲に撒き散らすことによって、夕日を屈折させた?
「……そいつは、ナメクジの力か?」
 少なくとも人間業ではない。だったら消去法的にそれしかないはずだ。
「フフ。こんな素敵なことができるナメクジなんていないさ」
「じゃあ、なんなんだってんだよ!?」
「言っただろう?『呪い』さ」
「ケロ?」
 ……『呪い』だと?
「ボクは、君達と違って、どうして
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