第一部
第二幕 畜生部活に入る
第二幕 畜生部活に入る
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まあ、普通はそういうもんなんかもしれないな。……とか言うと俺が普通じゃないってことになって軽くムカつくが。
「一人の相手と、長く付き合っていくんじゃダメなのかよ」
「……最悪、それでも構いません」
最悪ってなんじゃ。
「おっけ。じゃあ極論を言えば、イケメンになれなくても、昨日告った奴と交尾できりゃ終いでいいんだな?」
「ケロッ!?」
「それしかないのであれば、仕方がありません」
「ケロロッ!?」
「うっし。じゃあ、とっととレイプをしに──」
「ケロォオオオオオオオオオオオ!」
「ぎゃぁあああああああああああ!」
雄叫びと共に胃袋が俺の顔面にドロップキックをかましやがった。
狭い部室で俺の身体が宙を舞う。
どういうわけか、非常にゆっくり時間が流れたかと思うと、すぐに頭から地面に追突した。
「ぐあっ!」
う……あ……。
「い……ってぇえええじゃねえか! この胃袋女!」
「ケロロ。だって……」
あん?
「今のは、ミーくんが悪いよ」
ああん?
「僕も流石に引きましたわぁ」
ああああああん!?
ブチン!
出っ歯の一言に何か太い管がブチ切れる音がした。
「誰のためにやってると思ってんだ、この出っ歯野郎ォオオオオオオオオオオオ!」
そう叫んで俺は出っ歯の顔面をぶん殴る。
「ぬぉおおおおおおおお!?」
バキン!
「「「!?」」」
……………バキン?
恐る恐る地面を見てみると、……そこには血塗られたカルシウムの塊的なものが。……ってか、巨大な前歯が。そして俺の目の前には……
「あいたたたた」
「「「!!?」」」
後頭部をさする…………イケメンがいた。
確かに超巨大な前歯ばかりに目が行き、他の場所に注意をはらえなかったであるが、前歯以外のパーツは悪くない……というか、むしろいい?
「な、何をするんですかぁ!」
「い、いや、そのな?」
思わずたじろいでしまう俺。
起き上がった胃袋も、さっきまで本から目を離さなかったナメクジでさえも俺と似たようなリアクションである。
「な、なあ?」
「なんですか?」
「今からな? もう一度だけ、昨日告った人のとこへ行ってこい」
「レイプはダメですよ!」
元畜生のくせに。
「ああ。レイプはやめだ。俺が間違ってた。つことで昨日と同じように告ってこい」
「そ、そんなの無理に決まって」
「いや、大丈夫だ。きっといける。騙されたと思って行ってこい。気に食わない結果になったらすぐに戻ってきて俺をボコボコにしてくれても構わん」
「……そこまで言うのなら」
出っ歯……もといイケメンは頭の上にクエッチョンマークを浮かべながら、人助け部を後にした。………………そして、この昼休み以降二度とこの部室に訪れることはなかった。
余談
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