第一部
第二幕 畜生部活に入る
第二幕 畜生部活に入る
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、正直お前のイメージの八割は胃袋だ。顔の造形よりも以外と桃色な胃袋の方が印象深い。
「ボクは?」
「ナメクジでいいだろうがよ。つか、そこの出っ歯、お前は誰なんだよ」
「!?」
ビクッとなる出っ歯。うわっ。こいつ胃袋女と同じ類の奴か? 胃袋とか出さんよな?
「この人は、ボク達のお客さんなんだよ」
お客さん……ってことは、こいつも『元』畜生ということか。……ますます内蔵を出す気がしてきた。
「まさにジャストタイミングさ。お悩みも今から聞くところだったんだ」
「あ、あの、ちょっと訊いて欲しいことが」
出っ歯が話し始める。
「僕……その……い、」
「い?」
「イケメンになりたいんです!」
「……………………………はぁ?」
「だ、だからイケメンになりたいんです!」
いや、叫ばんでも聞こえてるけど……。
「イケメンって……あのイケてる面のやつ?」
「イケてるmenでも可です」
「…………」
うん。
「わりぃ。ちょっと、席外すな?」
俺は一旦部室から出て、廊下の窓を開ける。
やっぱり寒い。俺が前にいたところよか10℃近く気温が低い気がする。
だが、決して悪いことばかりではない。
この空気の中で浴びる太陽の光は、気温とちょうどいい感じの対称性を生み非常に心地いい。
また、その日差しの元でゆっくりと流れていく雲をぼーっと眺めるのも悪くない。
「ふぅ」
……。
…………。
………………。
「……………………」
くっっっっだらねぇえええええええええええええええええ!
どうしよう。すごく帰りたい。
おそらく俺は元々人だか何だかを助けるよりも帰宅部の才能があるのだろう。なんたってこんなに帰りたいのだ。
「ミーくん、もうそろそろ帰ってきてね」
「………………はぁ」
何でこんな事になったんかなぁ。
俺が部室に戻ると、ナメクジがそのキザったい声で質問を再開する。
「ふむ。では出っ歯さんは何故イケメンになりたいのですか?」
あんたの呼び方も酷ぇなあ、おい。
「僕……元々ビーバーだったんです」
ビーバー……ってなんだっけ。確か齧歯類、つまりネズミの親戚だったのは覚えてるけど。
「その、ビーバー界では、どれだけ立派な前歯を持っているかがモテるかモテないかの分かれ目だったのです」
「ケロロ。だったら出っ歯さんは昔は凄くモテたんでしょうね」
おい。いいのか、出っ歯さんで確定して。
「そうなんですぅ!」
「!?」
突然出っ歯さんは大きな声で泣きはじめた。
「僕は昔はモテてモテてモテまくっていて。三十匹の現地妻と八十匹の愛人がいたのです」
いや、それは絶対いくらか盛ってるだろ?
「それで、人間になれたらもっとモテるかなと思って、この素晴らしい遺伝子は後世に引き
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