第一部
第二幕 畜生部活に入る
第二幕 畜生部活に入る
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鐘の音が教室中に響き渡る。これは俺が産まれて初めて体験する放課後というものを知らせるものらしい。
俺はカバンに教科書を詰めていく。やっぱり英語やら国語やらはわからん。なんでジョンは自分の出身がわからなくて、友人のキャッシーがその答えを知っているんだよ。周りはそれについてまるで疑問に思わないのも気持ちが悪い。『ありがとう』と『いただきます』の時といい、もしかしてこの英語というやつはエスパーかなんかを育てるものなのだろうか。
「はは」
思わず自嘲してしまうくらい馬鹿な事を考えながら、俺はふと、隣の席を一瞥した。結局女は帰ってこなかった。……まあ、胃袋が出て半日で帰ってきたらそれはそれで怖いではあるのだが。
「巳上!」
「あ?」
何やらモッサリとした声が俺を呼ぶ。
教室に入ってから三十分でセルフミステリーサークルを形成した俺の名前をこんなにもっさりとした声で叫ぶ奴呼ぶ奴というと……ああ、ゴリラ(もっさり)か。
「巳上聞いているのか」
「はいはい。聞いておりますとも。ところでゴリラ、顔がもっさりとしているのだからといって、声までもっさりとする必要はないと思うんだ」
「……何が言いたい?」
「たまには、その顔でキャワイイ声を出しても罰は当たらな……あー」
言いながら、ちょっと想像してしまった。予想外に酷い。公害レベルだ。
「イタイイタイ病の再ら──いだっ!?」
今、ゴリラがグーで俺の頭を殴りやがった! 体罰反対! 親父にも殴られたことはないのに。
「まあ、俺の親父にゃ殴る腕なんざ無いんだけどな」
「何を言っている?」
「何でもないでーす。それより要件をお願いしまーす」
「……ったく。まあいい。お前は今から用事はないな?」
「は? ふざけんなよ? あんたが出した宿題片付けなきゃならないんだけど?」
なんだよ、漢字の書き取り百回って。ふざけんなよ。腕の筋肉壊死するわ。
「それは夜12時以降にやれ」
「睡眠時間は!?」
「お前、元夜行性だろ?」
「現在バリバリの朝型じゃ!」
「いいから、ちょっと来い」
そう言って拉致られ……もとい連れて行かれた場所は、ぱっと見、便所よりも小さな教室の前だった。なんじゃここは?
ゴリラは教室のドアを二度ノックし「入るぞ!」との言葉と共にドアを開ける。ふと思ったが、ノックしようが断りを入れようが、中の人間の許しが出る前にドアを開けるのはいいのだろうか?
中にあったのは、予想通り小さな部屋と、その三分の一を占める長い机。そして、
「こんにちは五里先生。なんだかお久しぶりです。そんな顔をされても、ボクはまだこの部室を潰す気はありませんよ?」
部屋の奥でそんな事を言いながら分厚い本を読む一人の生徒がいた。
……男?
俺がそう思ったのは、単純に俺と同じ
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