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リリカルってなんですか?
A's編
第三十一話 裏 前 (グレアム、クロノ)
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ば間違いなく闇の書は666のページ数を埋めることができる。その先に待っているのは八神はやての時空牢への永久凍結である。

 そんなことが許されるのか、とクロノは憤る。

 確かに、八神はやてを放置した後の結果は最悪なものになるだろう。特に魔法文明が存在しない地球ではどれほどの規模の被害が出るかわからない。しかし、今回は幸運にも先に発見できたのだ。

 ならば、時空管理局が掲げる正義が本物であるならば―――少なくともクロノたちの派閥である穏健派が掲げる理念に従うならば、時空牢への永久凍結というような重大犯罪人のようなあつかいではなく少女を救うために全力を尽くすべきではないだろうか。

 今、ユーノに頼んでいる調査にしても、時空管理局が本気でチームを組んでくれていれば、今頃解決方法が見つかったかもしれない。

 それを考えれば、ユーノが女子どもとはいえ、人数を連れてきてくれたのは助かった。スクライアの魔法を使えるだけで探索という分野においては十分に戦力になったからだ。もしも、ユーノ一人に頼んでいたならば、どこまで進んだのか怪しい。

 もっとも、彼らをまとめ集めてきた情報を解釈するユーノの調査能力や精査能力にも目を見張るものもあるが。

 いくらイフを重ねても仕方ない。幸いにして、今は12月の初旬と中旬でかなり出撃回数を重ねてしまったから、という理由で最後の出撃を伸ばしているが、それもいつまで伸ばせるかわからない。少なくともグレアムたち上層部は地球で言うところのクリスマスまでの解決を望んでいるのだから。

 いや、今までの経験から言えば闇の書が堪え切れる期間ぎりぎりがそのころなのだ。少なくとも、何もしなければ八神はやては年を越える前に闇の書にリンカーコアを喰われて、死に至るだろう。そして、闇の書は転生機能によってまた次の主の元へと向かうのだ。再び破滅をもたらすために。

 できれば、グレアムによって時空牢で封印されることも、闇の書による自滅も防ぎたい。

 その二つを願うことはおこがましいことなのだろうか。だが、その両方を達成できなければ、八神はやてという少女はこの世から消えてしまう。

 ならば、時空管理局の正義に、いや、違う。時空管理局とは同じベクトルの正義を持った者たちの集まりだ。たとえば、グレアムのように一人を犠牲にしても多数を救う正義も時空管理局の中にはある。だからこそ、今回の作戦は時空管理局の総意として認可されたのだから。

 だから、クロノが八神はやてを助けたいという願いは、その願いは決して時空管理局の正義からの願いではなく、クロノ・ハラオウンが胸に抱いている正義なのだ。ただ、目の前の手の届く範囲にいる少女を救いたいというクロノ・ハラオウンの正義だった。

「………ユーノ。頼むぞ」

 クロノ
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