第一部
第一幕 畜生中学生になる
第一幕 畜生中学生になる
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している女生徒の隣だ」
「はあ?」
なんか、ゴリラが目尻をピクピクさせてる。
ったく、なんだよ胃袋って…………うわぁ。さっきの女が何かピンク色でヌルヌルした感じの物を吐き出している。元々が何の生物かは知ったことじゃない(まあなんとなくわかるが)が、人間の身体でそれはダメだろ?
俺は畜生時代に持っていた特色の多くを失った。
垂直の木に手を使わずに登ることもできないし、脱皮をすることもなくなった。
だが、その反面何故だか残ってる力も幾つか存在する。
俺が寒さに異様に弱いのもその一つだ。おかげで首に巻いてるマフラーを外すことができない。
女の胃袋芸? もその類の一つだろう。
俺は女の右隣にある席まで歩いていく。
「よう」
「ゲロォっ!?」
……胃袋が出てるくせによくそんな声が出せるな。……つか、とっととしまえ、そのグロテスクなもん。
ゴリラは適当に注意事項を話した後、何処かへ行ってしまった。
見れば見るほどゴリラだった。明日あたり、バナナでも買ってきたら懐くかもしれない。
「君!」
「あ?」
何やら俺の席の周りを、教室の半数の生徒が取り囲んでいた。
「どこから来たの?」
「好きな芸能人は?」
「スポーツとかやってた?」
「女の子のタイプとかある?」
「男の子でもいいぜ!」
……なんじゃこりゃ。
自己紹介の時も感じたが、人間っつーのは、そんなにも他人に興味があるのか。別に危害を加える気は無いって言ったじゃねえか。ああ、もううっとおしい。
「そんなに一気に聞かれてもわからん。答えてやるから、一人ずつ順番にだ」
「どこから来たの?」
「オキナワってとこだ」
「えー! 凄いじゃん! じゃあ、沖縄弁とか喋れるの?」
「一身上の都合でまるでしゃべれん。ただ、沖縄弁というと、沖縄の人間はキレるから気をつけろ」
「スポーツとかやってた?」
「やってない。身体よりも頭を動かす方が好きだ」
「じゃあ、勉強とか得意なの?」
「数学や科学は面白いと思ったが、国語や英語とかいうやつは意味がわからん」
「身長高いね。何センチくらいあるの?」
「170くらいだと聞いている」
「誕生日は?」
「9月8日」
「好きな芸能人は?」
「バカ殿は素晴らしい」
「女の子のタイプは?」
「その類はよくわからん」
「男でもオッケーとか?」
「それだけは断じてない」
「罵ってください!」
「このブタが!」
……ってちょっと待て。最後のは質問じゃなかっただろ?
なんかブヒブヒ言ってる女がいるが……まあ、気にするのはやめとこう。
つか、これはいつまで続くんだよ。どんだけ俺のことを……ん? 待てよ。もしかして。
「お前ら、俺の子供を産みたいのか?」
「「「「………………」」」」
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