第一部
第一幕 畜生中学生になる
第一幕 畜生中学生になる
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いうかむず痒いような、そんな……。
「……よーわからん」
「今日からこのクラスに新しい仲間が加わる」
大体、40人くらいの人間がいる部屋。この『教室』なんて呼ばれる場所で、若い人間は物事を学ぶのだとか。そして、今日から俺もその一人として加わるわけだ。
「新入生、自己紹介を」
「はあ? 自己紹介って?」
なんとなく、ゴリラに無茶ぶりされてるのは伝わる。
「文字通り、皆に自己を紹介するのだ。何かあるだろ?」
「何で?」
「皆、お前のことを知りたがってるんだ」
「………………」
俺はゆっくりと目の前で座ってる生徒達を見渡す。……何かウザいぐらい注目されてる。目が爛々と輝いてるやつまで。
……まあ、なんとなくわからんでもない。
例えば、生まれて初めて見る動物が目の前にいた時、そいつのことについて可能な限りの情報を欲しがるのは、有る意味当然のことだ。その辺りを適当にして死んだ奴を俺は多く見てきてる。……まあ、だからといって、わざわざ俺の方から自分の情報を晒すのは間違ってる気もするが。まあ、それも人間独自のスタイルなのかもしれない。まあ、ここは言われた通りにするか。……郷に入っては郷に従えだっけか?
「あー。俺は一応人間だ」
「見ればわかる」
「お前らを食べる気はない」
「クラスメイトを食う奴なんざいない」
「お前らに興味はない」
「そんなことを堂々と言うな」
……さっきから、ゴリラがうるさい。
「とりあえず『名前』から言え」
ああ、なるほどね。確かにそれは重要かもしれない。
『言葉』なんて複雑なものをつかう性質上、同じ人間を区別するために『名前』なんてものをそれぞれ持っている。俺も、一番初めに何か教えられた。
「あー。おれの名前は 巳上だ」
「他に言うことが無いのか?」
「他ってなんだよ」
「例えば好きな食べ物とか、そんなんだ」
「好きな食べ物? 強いて言うならカエルは美味いと思──」
「ケロォオオオオオオオオオオオオ!?」
突如と教室内を爆音が包んだ。
……ああ、同じ教室だったのな、お前。
「うるさいぞ! 蛙門!」
んー。距離的にゴリラのがうるさい。つか、登校初日から鼓膜へのダメージが甚大だ。
「ケ、ケロ! ごめんなさい!」
ボリュームの壊れた声。
俺はゆっくりとその発信源へと目を移す。
そいつは、超ミニマムサイズのくせに一番後ろの席についていた。ついでに言えば、顔を緑色に変えて超高周波数で振動してる。超音波でも出す気なのだろうか。
「もうそろそろ自己紹介ってやつをやめてもいいか?」
「はあ…………。ああ、構わん。だが、二度とカエルがプリプリしていて美味いとは言ってはならんぞ」
プリプリとは言ってねえがな。
「お前の席は…………あの、現在胃袋を嘔吐
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