第一部
第一幕 畜生中学生になる
第一幕 畜生中学生になる
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何が起きたかわからない。
俺は恐る恐る、卵を潰したそいつを見上げた。
「おー」
俺たちよりガラガラとした声で、そいつは鳴いた。イヌやネコとも違う初めて聞く鳴き声だった。
「でーじいい色のヘビじゃないか」
「!?」
先程と鳴き声が違う。
音の高さは同じだが、俺達や他の畜生よりも明らかに複雑な鳴き声。身体は俺が生きていて見た中でも最もでかい。一体なんなんだ。なんなんだこの生き物は。
だが、そんなことを考える余裕を、その生き物は与えてはくれなかった。
「大きさも素晴らしい。こんなのは初めてさー。これなら私が長い間夢見た──」
何やらブツブツと鳴きながら、ひょいと、とても器用そうな前足で、卵を産んだばかりで衰弱している俺のパートナーを掴み上げたのだ。こいつ、何をしやがる?
「ああ、二匹いたのか。でも、こいつは色が悪いな」
俺を一瞥後、その生き物は背中に持った何かにパートナーを突っ込み、俺のことは完全に無視して何処かへ行こうとした。
待て。ちょっと待ってくれ。
なんなんだお前は。
俺のパートナーをどうするのだ?
俺達の卵を割って、更にパートナーまで奪うのか。
やめろ。
やめてくれ。
やめてくれぇええええええええええ!
「シャァアアアアアアアア!」
「うおっ!?」
俺はその生き物の後ろ足と思しき部分に噛み付く……が、硬い。なんだこれは? 少なくとも生物の皮膚や鱗の硬さではない。ニオイも嗅いでいて気分が悪くなる。俺の毒の牙も刺さった気がしない。
「ぬぅ! どっかいけ!」
その生き物は、後ろ足を大きく振り、俺を吹っ飛ばす。別段痛みがあるわけではないけれども、そんなことはどうでもいい。
「フン! 見逃してやったんだ。感謝しろ」
そう鳴くと、疲れきった俺には到底追いつけない速度でそいつは何処かへ行ってしまった。もちろん、俺のパートナーを連れて。
その場に残ったのはバラバラになった卵と、その場で呆然とした俺だけだった。
なんなんだ。
なんなんだあれは。
俺は必死に考えた。
けど、答えなんかでない。
あまりに考えるための材料が少ない。
どれだけ頭が良かろうと、こんなあまりに予想外のことを考えることはできない。
何故。
何故だ。
何故、俺は一瞬でパートナーも卵も全てを失った!?
一体何故なんだ!?
「シャァアアアアアアアア!」
パートナーを見つけた時とはまるで違う脳の振動、それに合わせて思わず声が出てしまう。
もう何が何だかわからない。
わからないけど、叫ばずにはいられなかった。
「シャアアアアアアアアアアアアアア!」
……そんな時だ。
「ケッケッケ」
「!?」
不思議な……あまりに不思議な鳴き声がした。
「面白い力を感じてこ
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