青い春
拾伍 バカになれ
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
いた。
日向は目を丸くしている他のナインに叫ぶ。
「お前らァ!加持先生が、今、自分からノックバットを握ったんだぞォ!?こんな事が今まであったかァ!?これまでは頼まれないと、練習を手伝いはしなかった!それが今、自分から来たんだ!俺たちの思いがこの人にも伝わったんだ!!ずっと冷めてた加持先生も、俺たちを見て熱くなっちまったんだ!俺たちがそこで冷めちまって、どうすんだぁ!」
全力で怒鳴り続ける日向の姿に、他の面々は言葉を失う。
「来いよ加持先生!俺たちと勝負だぁ!どっちかが倒れるまでやってやらぁ!」
啖呵を切って、レフトのポジションで構える日向。
「…うぉらぁあーー!来いやワレェー!何でも捕ったるわ、ドアホーッ!!」
つられて声を上げたのは、ライトの藤次。
「こーぜこーぜ!」
「ハイ、最初はどこに来るどこに来る?」
「ショート静かだなぁ帰ったのかァ!?」
少しずつ、だんだんと、グランドに声が満ちていく。煽られたショートの青葉も、半ばヤケクソで声を上げていた。
「みんな…」
自分もびっしょりと濡れ、顔に泥をくっつけている光は、その光景に、胸のあたりにジーンとくる感覚を覚えた。
一週間の合宿で疲れきっているはずなのに、それでもなお、湧き出てくる力というのが、目の前の選手達にはある。
「…俺の本気のノックは高くつくぞォ。今回は特別サービスだ!」
加持が、薄暗い空へ、高々と、泥に塗れたボールを打ち上げた。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ